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武満徹《径》、細川俊夫《エチュード》《雲景》 ベルワルツ&シュミット デュオ・リサイタル 水戸芸術館

2018年 9月 3日付

L: Jeroen Berwaerts / R: Christian Schmitt, Foto: Uwe Arens


9月10日に水戸芸術館(茨城)で行われるイエルーン・ベルワルツ(トランペット)とクリスチャン・シュミット(オルガン)のデュオ・リサイタルで、武満徹作曲《径(みち)》と、細川俊夫作曲《雲景》《エチュード》が演奏される。トランペットのための《エチュード》はこの日が日本初演となる。

武満が遺した唯一のトランペット独奏曲である《ヴィトルド・ルトスワフスキの追憶に》(1994)は、《夢窓》や《ファンタズマ/カントス》と同様、日本の伝統的回遊式庭園の発想や構造をメタファーとして取り入れた作品の1つ。庭園の小径が風景の微妙な変化のなかを進んでいくように、単純な旋律的モティーフとそのヴァリエーションが続いていく音楽だ。

細川の新作、トランペットのための《エチュード》(2018)は、ベルワルツによる「ブラームス・プロジェクト」のために、《トランペット協奏曲「霧のなかで」》の独奏部分の断片に基づいて作曲された小品。「ブラームス・プロジェクト」は、ブラームスの《トランペットまたはホルンのための12の練習曲》と現代作品の新作を交互に演奏するもので、細川のほか、木下正道、坂田直樹、リナ・トニアが新作を提供している。

オルガンのための《雲景》(2000)は、第4回武蔵野市国際オルガンコンクール(2000年9月)の予選課題曲として作曲された。右手・左手・ペダルによる3つの音響は、それぞれ、メロディーが堆積して和音となり、それがまた減衰して消えるように作られており、雅楽の笙を思わせる。

ベルワルツはこれまでにも《旅 VII》や《トランペット協奏曲「霧のなかで」》といった細川作品の初演を手がけている。中川賢一(ピアノ)とともに2016年にリリースしたCD『トランペット・テールズ』[NARD-6004]には、トランペットとピアノのための《霧のなかで》や、武満《径》が収録されている。シュミットもかねてより《雲景》を自身のレパートリーとしており、2017年には細川のオルガン協奏曲《抱擁―光と影―》の世界初演を務めた。


イエルーン・ベルワルツ & クリスチャン・シュミット デュオ・リサイタル
2018年9月10日 19:00 水戸芸術館(茨城)
https://www.arttowermito.or.jp/hall/hall02.html?id=1481