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湯浅譲二の音楽 90歳を祝う記念演奏会

2019年 6月 28日付

Joji Yuasa

photo © Jun'ichi Ishizuka

湯浅譲二の90歳を記念する公演が7月13日と27日、トーキョーコンサーツ・ラボで開かれる。

今年、8月12日に90歳(卒寿)を迎える湯浅。2年前、米寿を迎えた2017年には、サントリー芸術財団主催の「作曲家の個展 II」において一柳慧とともに作品が取り上げられ、病を乗り越えて一部を完成させた《オーケストラのための軌跡》が部分的に初演されたことも記憶に新しい。湯浅はその後も作曲の筆を止めることはなく、また昨年夏の現代音楽セミナー&フェスティバル「秋吉台の夏」では、自身の創作についての講演も行うなど、アクティブに活動を続けている。今回の記念公演は、創作初期から飽くなき探究を続ける湯浅のこれまでの軌跡を振り返る貴重な2日間となりそうだ。

「第1回 電子音楽」と題された7月13日には、エレクトロニクスに有馬純寿を迎え、日本の作曲家の作品を数多く初演してきたハープの篠崎史子と、多くの作曲家がその演奏に信頼を寄せるサクソフォンの大石将紀により、《ヴォイセス・カミング》(1969)、《世阿彌・九位》 (1987-88)より第7曲、《ハープのある時空》(1999)、《ホワイト・ノイズによるイコン》(1967)、《私ではなく風が...》(1976)など、全7作品が演奏される。湯浅の電子音楽作品の様相を改めて俯瞰する稀有な機会と言えよう。

27日の「第2回 室内楽」の公演では、木村かをり(ピアノ)、高橋アキ(ピアノ)、瀬尾久仁&加藤真一郎ピアノ・デュオ、般若佳子(ヴィオラ)、山澤慧(チェロ)、志村美土里(メゾ・ソプラノ)、アミティ・カルテット(伊藤亜美、須山暢大、安達真理、山澤慧)が出演し、《ヴィオラ・ローカス》(1995)、《内触覚的宇宙》シリーズ(I: 1957, II:1986, IV: 1997)から近作《おやすみなさい》(2013)まで、全8曲を披露する。湯浅が活動を共にしてきた幅広い年代の奏者の演奏に委ねられることで、湯浅の室内楽作品の魅力が改めて示される演奏会となるだろう。

この2回にわたる記念演奏会に加え、7月12日には東京オペラシティで、池辺晋一郎プロデュースによる「日本の現代音楽、創作の軌跡」の第1回「生誕90年〜1929年生まれの5人」が開催され、湯浅の《7人の奏者のためのプロジェクション》が演奏される。併せて注目したい。

湯浅譲二 90歳を祝う記念演奏会 時代が追いついた 湯浅譲二の音楽
2019年7月13日[土]15:00 トーキョーコンサーツ・ラボ(東京)
第1回 電子音楽
https://tocon-lab.com/event/20190713
2019年7月27日[土]15:00 トーキョーコンサーツ・ラボ(東京)
第2回 室内楽
https://tocon-lab.com/event/20190727

池辺晋一郎 プロデュース
日本の現代音楽、創作の軌跡
第1回「生誕90年〜1929年生まれの5人」
2019年7月12日[金]19:00 東京オペラシティ リサイタルホール(東京)
https://www.operacity.jp/concert/calendar/detail.php?id=9496

【関連リンク】
一柳慧と湯浅譲二の管弦楽作品を演奏 「作曲家の個展 II 2017」(2017年10月2日付)
https://www.schottjapan.com/news/2017/171002_120343.html