《ル・グラン・マカーブル》日本初演
ジェルジ・リゲティ(Gyorgy Ligeti)唯一のオペラ《ル・グラン・マカーブル》(Le Grand Macabre)が来たる2月7日と8日、東京室内歌劇場により新国立劇場・中劇場において、日本初演される。作曲者自ら「アンチ・アンチ・オペラ」と呼んだこの問題作は、シニカルでグロテスクでコミカルな、一筋縄では行かない物語の展開に加え、歌手や演奏家たちへ要求する過酷なまでに高度な演奏技術も相まって、初演から30年を経た現在でも上演そのものが常に大きな話題となる希有なオペラである。
原作はベルギーの劇作家ミシェル・ド・ゲルデロードの戯曲『グラン・マカーブルのバラード』。台本は作曲者と、ストックホルム人形劇場のミヒャエル・メシュケとの共同で作成された。1974年12月から足掛け4年をかけ全2幕4場として作曲され、1978年4月12日にストックホルム王立歌劇場においてエルガー・ハワースの指揮により世界初演。その後も世界各国で再演が重ねられ、1987年10月のウィーンのコンツェルトハウスにおける上演の模様は、後にヴェルゴからCDとしてリリースされた。1996年には、次の年のザルツブルク音楽祭上演のために全1幕4場へ変更、内容も大幅改訂。現在行われている上演は、この時の版に基づいている。
1988年には第2幕第3場の3つのアリアを、C管トランペット(またはコロラトゥーラ・ソプラノ)とピアノのためのコンサート・ピースにまとめた《ミステリー・オヴ・ザ・マカーブル》が、世界初演の指揮者ハワースによって編曲され、好評を博す。1991年には室内オーケストラ版が、翌92年にはオーケストラ版が同じくハワースによって編曲されている。
独ショットでは現在、オペラのスタディ・スコアをはじめ、《ミステリー…》各版のスコアなど、関連するさまざまな楽譜、CDを出版、リリースしている。また「パウル・ザッヒャー財団シリーズ(Publications from the Paul Sacher Foundation)」の第10巻として、リゲティ執筆の論文やプログラムノートなどをまとめた『ジェルジ・リゲティ著作集成』全2巻も出版されており、このオペラについて言及した「オペラ《ル・グラン・マカーブル》の成立によせて」はもとより、セリエリズム批判として名高い「ブーレーズ:《構造Ia》における決定と自動装置」など、20世紀後半のヨーロッパ音楽を研究する上で避けて通ることの出来ない論文も、多数収録されている。
Naxos Music Libraryで《ル・グラン・マカーブル》全曲(2幕4場)を聴く
ル・グラン・マカーブル(1974?77/96)
スタディ・スコア(1幕4場、独/英)
http://www.schott-music.com/shop/1/show,39089.html
リブレット(独/英)
http://www.schott-music.com/shop/1/show,16842.html
CD(2幕4場、独語上演、2枚組)
http://www.schott-music.com/shop/3/show,93509.html
ミステリー・オヴ・ザ・マカーブル(1988)
C管トランペット/コロラトゥーラ・ソプラノとピアノのための
スコア(C管トランペット版)
http://www.schott-music.com/shop/1/show,38614.html
スコア(コロラトゥーラ・ソプラノ版、独/英)
http://www.schott-music.com/shop/1/show,39413.html
ミステリー・オヴ・ザ・マカーブル(1991)
C管トランペット/コロラトゥーラ・ソプラノと室内オーケストラのための
スタディ・スコア(独/英)
http://www.schott-music.com/shop/1/show,38764.html
ミステリー・オヴ・ザ・マカーブル(1992)
C管トランペット/コロラトゥーラ・ソプラノとオーケストラのための
スコア、パート譜ともレンタル
http://www.schott-music.com/shop/9/show,153623.html
ジェルジ・リゲティ著作集成(全2巻、独語)
モニカ・リヒテンフェルト編/パウル・ザッヒャー財団シリーズ第10巻
http://www.schott-music.com/shop/2/show,132793.html
目次:
1. 歴史・美学・作曲技術 (Geschichte. Asthetik. Kompositorisches Metier)
2. 先達・同時代の人たち・友人たち (Vorbilder. Zeitgenossen. Freunde)
3. 自叙伝 (Autobiographisches)
4. 回顧、告白、展望 (Ruckblicke, Bekenntnisse, Ausblicke)
5. 自身の活動報告 (Zur eigenen Arbeit)
6. 自作プログラムノート (Werkkommentare)