ライマンのオペラ《メデア》《リア》製作発表
2013年に開場50周年を迎える日生劇場は4月10日、東京の帝国ホテルにおいて記念特別公演の制作発表を行い、現代ドイツを代表する作曲家アリベルト・ライマン Aribert Reimann(1936?)による最新作《メデア Medea》と、代表作《リア Lear》の2つのオペラを、今年と来年でそれぞれ日本初演することを発表しました。
《メデア》はウィーン国立歌劇場の委嘱によるライマンの最新作です。ギリシャ悲劇として名高い『王女メディア』の物語を題材にした、オーストリアの劇作家フランツ・グリルパルツァーの三部劇詩『金羊皮』第3部「メデア」を原作に、ライマン自身が台本を執筆しました。
故郷を捨て他国に嫁いだにもかかわらず、夫に裏切られてしまった女の激しい情念が描かれたこの物語を、ライマンは、文化の違いによって存在を否定される女の悲劇という新しい視点でオペラに仕立てています。音楽も現代的な響きだけでなく、古典的な音楽作法をも十分に兼ね備えた意欲作といえるでしょう。マルコ・アルトゥーロ・マレッリ演出による2010年の世界初演は大成功をおさめ、このプロダクションは、独オペラ専門誌である「オペルンヴェルト Opernwelt」において、その年の「年間最優秀世界初演」を受けています。
今秋11月9日から11日までの日本初演では、サイトウ・キネン・フェスティバルやサントリーホール・ホールオペラの多くのオペラの演出でも高い評価を得ている飯塚励生が演出。外題役である飯田みち代や大隅智佳子らダブルキャストによる公演。演奏は下野竜也指揮読売日本交響楽団です。
また、来年11月8?10日は、ライマンの出世作ともいえる《リア》が日本初演されます。演出は栗山民也。演奏はメデアと同じく、下野指揮の読売日本交響楽団。
半世紀に渡って多数のオペラ歌手やスタッフを輩出してきた日生劇場が、ふたたび『これからの50年につながる舞台芸術の発信地』となるべく放つライマンの現代オペラ2作品。オペラファン必見の公演となるでしょう。
アリベルト・ライマン 舞台作品カタログ(PDF) |
アリベルト・ライマン 作品カタログ(PDF) |
■ 公演情報
アリベルト・ライマン:オペラ《メデア》
日生劇場開場50周年記念 第1弾
2012年11月9日(金)・10日(土)・11日(日)
指揮:下野竜也 演出:飯塚励生
出演:メデア=飯田みち代/大隅智佳子 ゴラ=小山由美/清水華澄 イヤソン=宮本益光/与那城敬 クレオン=大間知覚/大野徹也 クレオサ=林美智子/山下牧子 ヘロルド=彌勒忠史(全日)
管弦楽:読売日本交響楽団
原語上演(字幕付き)
アリベルト・ライマン:オペラ《リア》
2013年11月8日(金)・9日(土)・10日(日)
指揮:下野竜也 演出:栗山民也
出演:未定
管弦楽:読売日本交響楽団
■ 参考動画:《メデア》2010年フランクフルト歌劇場(Oper Frankfurt)公演の制作風景