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ストラヴィンスキー《葬送の歌》107年ぶりの蘇演 2017年5月に日本初演

2016年 12月 2日付

Photo: Wikimedia Commons

昨年9月、失われたとみられていた幻のストラヴィンスキー作品、《葬送の歌 Funeral Song (Pogrebal’naya Pesnya) 》の楽譜がサンクトペテルブルク音楽院で見つかったことが音楽ファンのあいだで話題となった。そして本日12月2日、サンクトペテルブルクのマリインスキー劇場で、ヴァレリー・ゲルギエフ指揮マリインスキー劇場管弦楽団がこの作品の響きを現代に蘇らせる。初演から実に1世紀以上を経た歴史的な蘇演となる。

当日はストラヴィンスキー生誕135年を記念するオープニング・コンサートとして、《葬送の歌》ほか《火の鳥》、リムスキー=コルサコフ《組曲「見えない町キーテジの物語」》が演奏される。公演の模様はMedici.tvMezzoでのライヴ配信も行われる(日本時間3日朝4時)。

また、1月20日ソウルでの韓国初演(アジア地域初演)を皮切りに、はやくも世界15カ国で2017年内の《葬送の歌》各国初演日程が発表されており、この作品への注目の高さが覗える。気になる日本初演は2017年5月18日、東京オペラシティで、エサ=ペッカ・サロネン指揮フィルハーモニア管弦楽団による来日公演のプログラムとして行われる。サロネン指揮フィルハーモニア管が2月にイギリス、スペイン各国での初演も手がけるほか、デュトワ指揮シカゴ響によるアメリカ初演(4月)や、ラトル指揮ベルリン・フィルによるドイツ初演(5月)など、名だたる指揮者と演奏団体による巨匠の「新作」初演に期待が高まる。

見つかった手稿はパート譜のみであったため、音楽学者ナタリア・ブラギンスカヤ博士らを中心とする同音楽院がパート譜からスコアを復元した。このフルスコアは、多くのストラヴィンスキー作品を出版しているブージー・アンド・ホークスから2017年に出版される予定。

葬送の歌》(1908)は、師リムスキー=コルサコフ(1844-1908)への追悼曲としてストラヴィンスキーが26歳で作曲した、演奏時間12分のオーケストラ作品。作曲時期としては1908年初演の《花火》や《幻想的スケルツォ》と、1910年初演のバレエ音楽《火の鳥》の間に位置するもので、作品番号5とされる。

初演は1909年1月17日に同音楽院のホールで、フェリックス・ブルーメンフェルト(指揮)とアレクサンドル・シェレメーテフ伯爵の私設オーケストラによって行われたが、作曲家の自伝『私の人生の年代記 The Chronicle of My Life』にも記されたように、後のロシア革命の最中に楽譜の所在が分からなくなり、以来これまで演奏されることがなかった。後年、作曲家自身もこの作品の詳細を思い出せなかったというが、自伝では構想の基となったオーケストレーションのアイディアが語られている。



イゴール・ストラヴィンスキー
葬送の歌 op. 5(1908)
オーケストラのための
Igor Stravinsky: Funeral Song (Pogrebal'naya Pesnya) op. 5

日本初演
2017年5月18日(木)19:00開演 東京オペラシティ コンサートホール
エサ=ペッカ・サロネン(指揮)
フィルハーモニア管弦楽団
https://www.operacity.jp/concert/2017/#detail0518