スティーヴ・ライヒ 80歳記念公演《テヒリーム》
photo © Jeff Herman
スティーヴ・ライヒ80歳を記念する公演が3月1日と2日、東京オペラシティコンサートホールで行われる。同ホール満員の聴衆を熱狂させた2012年の公演以来、4年ぶりとなるライヒ来日コンサートだ。ライヒ作品を演奏するために結成された2つのアンサンブル:コリン・カリー・グループ、シナジー・ヴォーカルズが、前回に続いて出演する。
今回のメインプログラムは、4人の女声、6つの木管楽器、2台の電子オルガン、弦楽、パーカッションという大掛かりな編成による《テヒリーム》(1981)だろう。ライヒの作曲キャリアにおいて初めて歌詞の付けられた作品であり、同時に彼が新たな作風を開拓していく80年代以降へとつながる傑作である。女声パートには旧約聖書「詩篇」から4つのヘブライ語テクストが用いられており、ヘブライ語の抑揚を反映した柔軟な変拍子によるリズムが、カノンのように組み合うことで作品全体の土台となっている。その響きはどこか古楽を彷彿とさせながら、ライヒ自身が言うように「同時に、伝統的にも現代的にも聴こえる」、新鮮さを失わない作品だ。
2台のピアノと2台のヴィヴラフォンのための《カルテット》(2013)は、同日の曲目では最も新しい作品で、今回が日本初演となる。作曲者が「アンサンブルとして高いレベルの熟練が要求される」と述べるこの作品は、元々コリン・カリーのために作曲され、2014年にロンドンでコリン・カリー・グループによって世界初演が行われている。また、恒例となった感もあるライヒ自演による《クラッピング・ミュージック》(1972)も見逃せない。
コリン・カリー・グループは、国際的に目覚ましい活躍を続けるソリスト、コリン・カリー(パーカッション)を中心に、2006年のBBCプロムスで《ドラミング》を上演するべく結成され、ライヒからも絶大な賞賛と信頼を得ている。シナジー・ヴォーカルズもまた、ライヒ生誕60年を記念したロンドン交響楽団による《テヒリーム》公演をきっかけに結成された。《18人の音楽家のための音楽》などでも聴けたダイナミックで正確なコーラスによる「カノン」に期待できる。
昨年から今年にかけて20以上の国で、400を超えるライヒ関連公演が行われている。ライヒの80歳を祝う要の公演の一つとして、注目の2日間となるだろう。
スティーヴ・ライヒ80th ANNIVERSARY《テヒリーム》
東京オペラシティコンサートホール
2017年3月1日[水]19:00
2017年3月2日[木]19:00
コリン・カリー(パーカッション、指揮)
コリン・カリー・グループ
シナジー・ヴォーカルズ
ゲスト:スティーヴ・ライヒ
http://www.operacity.jp/concert/calendar/details/reich80tokyo/