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細川俊夫の新作オペラ《二人静》 パリ、ケルンで初演

2017年 11月 7日付

Kerstin Avemo, Fotograf Peter Knutson anges vid publicering / Ryoko Aoki, Photo : Hiroaki Seo


細川俊夫作曲による新作オペラ《二人静海から来た少女—》の世界初演が、12月に演奏会形式で行われる。昨年1月にハンブルクでの世界初演が大きな成功を収めたオペラ《海、静かな海》に続き、平田オリザと細川俊夫が再び手を組んで創り上げた作品だ。

12月1日にパリのシテ・ドゥ・ラ・ミュジークで世界初演が行われ、続く3日にはケルン・フィルハーモニーでドイツ初演が行われる。出演は、2011年にカリスト・ビエイト演出による《班女》で花子役を演じたこともあるシェシュティン・アヴェモ(ソプラノ)と、ヴォルフガング・リームのオペラ《メキシコの征服》への出演など、能と現代音楽を結びつける活動を国際的に展開している青木涼子(能役者)。マティアス・ピンチャー指揮アンサンブル・アンテルコンタンポランが演奏を務める。

二人静海から来た少女—》(2017)はアンサンブル・アンテルコンタンポランの委嘱によって作曲された1幕1場のオペラである。原作を手がけた平田オリザは、能『二人静(ふたりしずか)』を下地に、世界各地で続くテロや紛争を背景とした現代の物語を新たに書き下ろした:地中海の海辺に流れ着いた難民の少女(ヘレン)に、12世紀の日本に生きた舞手(静)が取憑く。かつて力ある武将の恋人であった舞手は、彼の子を身ごもっていた。しかし時の権力者(武将の兄)の命によって、武将は叛逆者として討伐され、舞手の息子もまた生まれたばかりで砂に埋められてしまった。抗い難い暴力の犠牲となった2人の女性の悲劇は、時間と場所を超えて重なり合い、やがて2人の声は1つのものになっていく。

いまや細川を代表するオペラとなった《班女》や《松風》と同様、今作も日本の能を下地としているが、今作ではとりわけ、ソプラノに加えて演者として能役者が想定されており、ドラマの背景としてだけでなく、歌唱法などの技法的要素においても能が取り入れられている。

歌うことを通じて現実世界と超自然的世界がつながり、悲しみが昇華されるというドラマは、細川がエドガー・アラン・ポーの原作に基づいて作曲したメゾ・ソプラノと12人の奏者のためのモノドラマ《大鴉》(2014)とも共通する。《二人静》はまた、《大鴉》と同規模の上演時間と楽器編成で作曲されており、細川は両者を対をなす姉妹作品であると述べる。本作は《大鴉》と同じく、舞台形式と演奏会形式、いずれでの上演も可能だ。

近年、細川の上演作品への注目はますます高まっている。来たる2018年には、サシャ・ヴァルツ演出による《松風》が待望の日本初演を2月に新国立劇場で迎えるほか、7月にはハインリヒ・フォン・クライスト『チリの地震』を原作とする新作オペラ《地震・夢》の世界初演が、シュトゥットガルト歌劇場で予定されている(台本:マルセル・バイアー、ドラマトゥルク:セルジオ・モラビト、演出:ヨッシ・ヴィーラー、美術:アンナ・フィーブロック、指揮:シルヴァン・カンブルラン)。


細川俊夫
二人静 海から来た少女
オペラ(1幕1場)
Toshio Hosokawa: Futari Shizuka —The Maiden from the Sea—

能『二人静』による
原作(日本語):平田オリザ
オペラ台本:細川俊夫
英語翻訳協力:ブライアリー・ロング、カールステン・ヴィット、セリア・ウィン・ウィルソン

2017年12月1日 20:30開演 シテ・ドゥ・ラ・ミュジーク[世界初演・演奏会形式]
2017年12月3日 20:00開演 ケルン・フィルハーモニー[ドイツ初演・演奏会形式]

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