細川俊夫の新作《夢を織る》 8月にルツェルン音楽祭で世界初演
2010年 5月 7日付
細川俊夫のオーケストラのための新作《夢を織る》(Woven Dreams)が、8月28日にルツェルン音楽祭でフランツ・ウェルザー=メスト指揮クリーヴランド管弦楽団により世界初演される。スイスに本社を持つ国際的な医薬関連企業であるロシュが、ルツェルン音楽祭、カーネギー・ホール、クリーヴランド管弦楽団の推薦にもとづき優れた現代音楽の作曲家に新曲を委嘱する「ロシュ・コミッション」により委嘱された。過去に、ハリソン・バートウィスルやジョージ・ベンジャミンらが「ロシュ・コミッション」により委嘱作品を書いている。
《夢を織る》作曲の過程を、細川は「夢の記憶を音楽で織りなおす作曲作業」だったと振り返る。その夢の記憶について細川は「かつて、母の胎内にいる夢を見た。その夢で私は、母の温かい胎内にいることの喜び、しかしやがて生まれなければならないプレッシャーや強迫、そして生まれ出る過程の苦しさや痛みを通過してこの地上に生まれる喜び、といったことを体験した。それはいつまでも心に残る深い体験であり、人間の根元的な感情に触れる体験であった」と語っている。
この作品はルツェルン音楽祭で初演された後、2011年1月20, 21, 22日にはクリーヴランドのセヴェランス・ホールで、また2月4日にはニューヨークのカーネギー・ホールで、初演と同じオーケストラと指揮者により演奏される。演奏時間16分。