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『ヴォルーミナ』リゲティの全オルガン作品集 WERGOからリリース

2013年 5月29日付

ジェルジ・リゲティ(1923-2006)の遺したオルガン作品は3曲のみですが、これらは彼の作曲の発展において重要な位置を占めているだけでなく、現代オルガン作品の新しい道を切り開いた記念碑的作品群といえるでしょう。リゲティ生誕90年となる今年、彼の全オルガン作品:《ヴォルーミナ》《ハーモニーズ》《クレ》に加え、ピアノ作品《ムジカ・リチェルカータ》全曲のオルガン編曲演奏を収録したアルバムが、独WERGOからリリースされました。

+++ Volumina - Orgelwerke | WERGO

演奏は、シュトックハウゼンの《星座のための12のメロディー》オルガン版(WER 6736)や、ヴォルフガンク・リームのオルガン作品集などをリリースしているドミニク・シュステック。今回のアルバムには、リゲティの電子音楽作品《アーティキュレーション》(1958)に着想を得た、シュステックによる即興作品《Sprachsignale》(2012)も収録されています。

録音はすべて、2012年8月にケルンの聖ペテロ文化ステーションにおいて行われました。同梱されたブックレットには、使用されたオルガンのストップが詳しく記載されています。


Gyorgy Ligeti
Volumina – Orgelwerke

WER 6757 2

Dominik Susteck: organ

  • Musica ricercata per pianoforte, arranged for organ by Dominik Susteck
  • Two Etudes for organ
  • Volumina for organ
  • Sprachsignale. Improvisations for organ by Dominik Susteck

ヴォルーミナ》(1961/62, rev.1966)では、メロディ、リズム、ハーモニーといった時間的構造が放棄され、トーン・クラスターから作り出される音色によってのみ構築された、静的な音響空間が立ち現れます。シュステックの巧みな音色選びと迫力のある残響によって、この大規模な作品が見事に再現されています。

《2つのエテュード》(1967-1969)のうち、《ハーモニーズ》では、10の音から成る和音が、鳴らされる毎にひとつずつその構成音を変え、またわずかな音色の変化を伴いながら、次第に変容していきます。《クレ》では、非常に速く演奏される8分音符の連なりが、形を変えながらゆっくりと発展するハーモニーの持続として知覚されます。

全11楽章からなる、ピアノのための《ムジカ・リチェルカータ》(1951-53)は、12の半音を用いた作曲の可能性が探求された作品です。第11楽章をリゲティ自身が《リチェルカーレ》としてオルガンのために編曲していますが、今回、全曲がシュステックによってオルガン用に編曲されています。


2013年8月20日追記

上記アルバムが、2013年第3期のドイツ・レコード批評家賞を受賞しました。
http://www.schallplattenkritik.de/news/626-bestenliste-3-2013