コンポージアム2016「一柳 慧を迎えて」 《ピアノ協奏曲第6番》初演、《ベルリン連詩》など
© Koh Okabe
東京オペラシティの同時代音楽企画『コンポージアム』。18回目となる今年は、作曲家、ピアニストの一柳慧を迎え、5月25日の管弦楽演奏会と5月29日の武満徹作曲賞本選会演奏会の2日間開催される。
一柳は1950年代から作曲家として活動を始め、61年に米国留学から帰国した後は、自作のみならずジョン・ケージら欧米の前衛音楽を紹介するなど、日本の音楽・アートのさまざまな分野に強い刺激を与えた。70年以降、海外の音楽祭からも数々の新作委嘱を受け、現代音楽シーンを牽引する作曲家の1人となった。80歳を過ぎた現在も精力的な作曲を続けており、昨年1月に《交響曲第9番》を発表、さらに今年6月には《交響曲第10番》の初演が予定されている。
5月25日の管弦楽演奏会「一柳 慧の音楽」では、88年に初演された代表作である、ソプラノ、テノールまたはバリトン、オーケストラのための《交響曲「ベルリン連詩」》を中心に、一柳の創作の道程を辿る。同作品は一柳のオーケストラ作品のなかでも編成・演奏時間(約45分)ともに最大規模のもの。大岡信、カリン・キヴス、川崎洋、グントラム・フェスパーら4人の詩人による連詩がテクストに用いられており、「連詩」の持つ時間的・空間的つながりに着想を得た作品だ。これと対照的な小編成ながら、室内オーケストラのための《ビトゥイーン・スペース・アンド・タイム》(2001)でも、音楽における「空間」と「時間」の問題が追求されている。また、この日が世界初演となる《ピアノ協奏曲第6番 ─ 禅 ─ ZEN ─》では作曲者自らソリストを務め、ピアノという楽器の可能性に改めて挑む。《ベルリン連詩》の独唱は天羽明惠(ソプラノ)と松平敬(バリトン)、管弦楽は秋山和慶指揮、東京都交響楽団。
一柳が審査員を務める5月29日の武満徹作曲賞本選会演奏会では、応募97作品から、一柳の譜面審査で選ばれた4作品が演奏され、受賞作品が発表される。演奏は川瀬賢太郎指揮、東京フィルハーモニー交響楽団。
コンポージアム関連企画として、5月17日には国立音楽大学で一柳によるレクチャーが予定されているほか、5月20日にはオペラシティリサイタルホールで一柳の室内楽を特集する演奏会が企画されている。《シーンズ II》(1979) 、弦楽四重奏曲第3番《インナー・ランドスケープ》(1994)ほか、ピアノ協奏曲第4番 《ジャズ》(2009)2台ピアノ版の初演などが行われるこちらの演奏会も聴き逃せない。さらに4月29日に東京文化会館大会議室で行われるイベント「一柳慧 創作の軌跡」では、一柳が自作について語る。聞き手は、エレクトロニクスの有馬純寿とピアニストの飯野明日香の両氏。
コンポージアム2016 一柳 慧を迎えて。
一柳 慧の音楽
2016年5月25日[水]19:00・東京オペラシティ コンサートホール[info]
2016年度武満徹作曲賞本選会演奏会
2016年5月29日[日]15:00・東京オペラシティ コンサートホール[info]
関連企画:
一柳 慧 レクチャー
2016年5月17日[火]18:15・国立音楽大学新1号館オーケストラスタジオ[info]
主催:国立音楽大学創作科目会
【共催公演】一柳 慧 〜 ミュージック・ホリスティック
2016年5月20日[金]19:00・東京オペラシティ リサイタルホール[info]
主催:東京コンサーツ/共催:公益財団法人 東京オペラシティ文化財団
一柳慧 創作の軌跡
2016年4月29日[金]14:00・東京文化会館 大会議室[info]
主催:日本アルバン・ベルク協会