新刊楽譜 小出稚子:フォルテピアノ(ピアノ)のための《ヒソップ》
2016年 6月23日付
小出稚子作曲、フォルテピアノ(またはピアノ)のための《ヒソップ》の楽譜が、ショット・ミュージックの新刊として発売された。
《ヒソップ》(2008)は、小出がさまざまな楽器編成のために書き続けている、植物をテーマとした作品群 “Botanic Suite” の1つ。大井浩明の委嘱によって作曲され、2008年4月24日、京都文化博物館別館ホールでの大井のリサイタル公演において初演が行われた(使用楽器:ヨハン・アンドレアス・シュタイン作フォルテピアノ/調律:A=421Hz)。
小出は作曲に際し、題材としたハーブ「ヒソップ」の匂いや味、そしてフォルテピアノの音の「気さくで繊細な印象」から着想を得て、「小ぢんまりしていて、閉じていて、適度に弛緩していて、ユーモアがあって、親密だけどさっぱりとした音楽」(初演時のプログラムノートより抜粋)を目指したと述べる。
曲を通してアンニュイな雰囲気の漂うなか、どこかバロック時代の音楽を思わせるリズムや装飾音、パッセージの戯れるような緩急が、作品独特の質感を生んでいる。演奏時間は約4分と短めながら、音の細やかな陰影が趣深い作品だ。
小出稚子 Noriko Koide 菊倍判/12ページ |