新刊楽譜 小出稚子《南国の魚、極彩色の夜》クラリネット、ヴァイオリン、ピアノのための
小出稚子作曲、クラリネット、ヴァイオリン、ピアノのための《南国の魚、極彩色の夜 Paradise Fishes, Brilliant Night》(2007/2013)は、東京音楽大学の学内演奏会で発表され、改訂の後に2007年の第76回日本音楽コンクール作曲部門の第2位となった作品。同年の第17回芥川作曲賞を受賞したオーケストラ作品《ケサランパサラン》と並び、小出の作風を印象づけたデビュー作として知られる。
本作では、下行・上行する音階、グリッサンド、同音連打、短いノイズ…といった小さな現象が、「吹く」「擦る」「叩く」という3つの発音形態を介して飛び交い、変形し、ポリリズムを形成しながら交錯することで、色彩豊かな音響となって流れ出す。小出は、1718年にオランダで刊行された世界初の彩色図入り海水魚図鑑、『モルッカ諸島産彩色魚類図譜』に描かれた幻想的な絵から曲想を得たと述べている。
今回ショット・ミュージックから出版される演奏用楽譜は、日本音楽コンクール本選でアール・レスピランのメンバーによって初演された版をもとに、2013年に小出が行った再改訂を反映した決定稿となる。この版は同年8月に菊地秀夫(クラリネット)、亀井庸州(ヴァイオリン)、榑谷静香(ピアノ)によって録音され、ピアノのための《ヒソップ》ほかと共に小出の室内楽作品集『南国の魚、極彩色の夜』に収められている。
小出稚子 Noriko Koide: Paradise Fishes, Brilliant Night for clarinet, violin and piano スコア(20ページ)& パート(12ページ+8ページ) |