N響「Music Tomorrow 2018」 マクミラン《オーボエ協奏曲》、マシューズ《ターニング・ポイント》
6月26日、東京オペラシティコンサートホールにおいて、NHK交響楽団「Music Tomorrow 2018」が開催される。今年は「組み合わされた風景 — 日本とイギリス、2つの国からの多様な音の風景」と題し、坂田直樹《組み合わされた風景》(第66回尾高賞受賞作品)、鈴木純明《リューベックのためのインヴェンション III「夏」》(NHK交響楽団委嘱作品)、そしてジェームズ・マクミラン《オーボエ協奏曲》(日本初演)、コリン・マシューズ《ターニング・ポイント》(日本初演)の4作品が演奏される。指揮は現代作品を得意とするステファン・アズベリー、オーボエ独奏は名手フランソワ・ルルー。
スコットランド生まれのマクミラン(1959-)は現在イギリスで最も脂の乗った作曲家の1人だろう。代表作であるオーケストラのための《イゾベル・ゴーディーの告白》や打楽器協奏曲《ヴェニ、ヴェニ、エマニュエル》は幾度となく再演が重ねられ、2008年に初演された、ロンドン響、ロイヤル・コンセルトヘボウ管、ボストン響などによる共同委嘱作品《聖ヨハネ受難曲》も高く評価されている。国内では、今年2月に兵庫芸術文化センター管弦楽団が《ブリタニア》を、3月に日本フィルハーモニー管弦楽団が《イゾベル・ゴーディーの告白》を、いずれも下野竜也の指揮によって演奏している。
《オーボエ協奏曲》(2009-10)は、ブリテン・シンフォニアとタウン・ホール(バーミンガム)の委嘱作品。初演は2010年10月にタウン・ホールで、ニコラス・ダニエル(オーボエ)とマクミラン指揮ブリテン・シンフォニアによって行われた。また、同メンバーによる録音もリリースされている[Harmonia Mundi / HMU 807573]。作品は全3楽章の伝統的な協奏曲の体裁をとりながらも、超絶技巧的なソロ・パートや、リズム上の仕掛けに溢れている。
マシューズ(1946-)はロンドン生まれ。ベンジャミン・ブリテンや、イモージェン・ホルストと協働した。1992年から99年までロンドン交響楽団の提携作曲家としてロストロポーヴィチのために《チェロ協奏曲第2番》などを作曲。92年にオリヴァー・ナッセン指揮で初演されたBBC委嘱作品《崩されたシンメトリー》などを収録したCD[ドイツ・グラモフォン]がグラミー賞にノミネートされた。近年もサンフランシスコ交響楽団、BBC交響楽団、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団らの委嘱作品を手がける。89年にNMCレコーズを設立。現在、王立音楽院で教鞭をとり、ブリテン=ピアーズ財団やホルスト財団の理事、ロイヤル・フィルハーモニック協会の評議員としてもイギリス音楽の普及に務めている。
《ターニング・ポイント》(2006)は、オランダのロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の委嘱作品。マルクス・シュテンツ指揮同管弦楽団が、2007年1月にコンセルトヘボウ(アムステルダム)で初演を行った。曲名はこの作品の作曲過程に由来していると作曲家自身が述べており、速いテンポで素材が組み合わされる前半と、非常に遅く強い持続音の後半とが「ターニング・ポイント」を挟んで対比される。
当日、開演前に尾高賞授賞式とプレトークが同会場で行われる。
NHK交響楽団
Music Tomorrow 2018
2018年6月26日[火]19:00 東京オペラシティ コンサートホール(東京)
18:30 尾高賞授賞式とプレトーク
http://www.nhkso.or.jp/concert/concert_detail.php?id=742