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新刊楽譜 モーツァルト《レクイエム》鈴木優人補筆校訂版

2019年 1月 30日付

Masato Suziki / 鈴木優人

photo © Marco Borggreve

作曲家・指揮者・鍵盤楽器奏者として活躍する鈴木優人が手がけた、W. A. モーツァルト《レクイエム》補筆校訂版の新刊がリリースされた(演奏用楽譜は既に2017年4月からレンタル開始)。

モーツァルトの自筆譜をもとに補筆されたジュスマイヤーによる完成版は、これまで幾度となく演奏され、モーツァルトが遺した痕跡をたどる歴史的な資料として高い価値をもっていることに変わりはない。しかし同時に、この完成版にはさまざまな問題点が含まれていることも事実で、特に近年になっていくつかの新しい編曲が試みられてきた。

鈴木による《レクイエム》補筆校訂版(2013)もそうした試みのひとつである。この校訂版では、ジュスマイヤーの補筆完成版を基にしながら、〈ラクリモーザ〉のあとに、1960年に発見されたアーメン・フーガのスケッチに基づき、〈アーメン〉が追加されている。他の新版と大きく異なるのは、次の2点である。モーツァルトの弟子アイブラーが、ジュスマイヤー以前に行ったオーケストレーションも取り入れたこと。そして、初版譜(ライプツィヒのブライトコプフ&ヘルテル社、1800年)に立ち戻って再検討したことである。

鈴木は、この校訂版について、あくまで演奏上の可能性を探る試みであり、学術的な意味においても、演奏という実用的な目的においても、「決定版」のようなものを目指したのではないと述べている。この版が出版されることにより、モーツァルトの《レクイエム》の演奏史に新たな可能性が開かれることを期待したい。

SJ304

W. A. モーツァルト
レクイエム KV 626
鈴木優人 補筆校訂版
モーツァルトの自筆譜及び、アイブラー、ジュスマイヤーの補筆完成版に基づく

W. A. Mozart: Requiem KV 626
Completed and edited by Masato Suzuki
Based on the autograph of W. A. Mozart and on the completion by Eybler and Süßmayr

B5判/268ページ
SJ 304

ISBN: 978-4-89066-904-2
ISMN: M-65001-282-9
JAN: 1923073034002

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