Home>ニュース

ニュース

RSS Twitter Facebook

クシシュトフ・ペンデレツキ来日

2019年 5月 31日付(6月24日更新)

Krzysztof Penderecki

photo © Ludwig van Beethoven Association / Bartosz Koziak

日本・ポーランド国交樹立100周年記念公演

6月下旬、ポーランドの作曲家クシシュトフ・ペンデレツキが来日し、日本・ポーランド国交樹立100周年記念公演(広島・東京)において、自作の《平和のための前奏曲》と《ヴァイオリン協奏曲第2番「メタモルフォーゼン」》を指揮する。両公演ともソリストは庄司紗矢香(ヴァイオリン)、管弦楽は広島交響楽団と東京都交響楽団によってそれぞれ演奏される。

管楽器、ティンパニ、打楽器のための《平和のための前奏曲》(2009)は、第二次世界大戦の勃発から70周年を記念する特別演奏会のために委嘱された作品で、ヴァレリー・ゲルギエフの指揮、平和のための世界オーケストラによって初演された。母国がこれまで長きに渡って強いられてきた過去の歴史と向き合い、最終的な解放への思いをこの前奏曲に込めたというペンデレツキの言葉どおり、平和への希求が高らかなファンファーレとなって鳴り響く。

ヴァイオリン協奏曲第2番「メタモルフォーゼン》(1992-95)は、1995年ライプツィヒでマリス・ヤンソンス指揮、アンネ=ゾフィー・ムターのヴァイオリン、中部ドイツ放送(MDR)交響楽団によって世界初演された。《ヴァイオリン協奏曲第1番》(1976-77/88)が書かれた1960〜70年代のペンデレツキの作品群は、ミクロポリフォニーやクラスター、微分音といった前衛的な書法と濃密なテクスチュアを特徴としている。その一方で、この《メタモルフォーゼン》はそうした書法から離れ、ネオ・ロマン主義的なスタイルへと移行した時期に作曲された作品である。

密度の高いポリフォニーからよりモノフォニックな書法へと転換したことによって、《メタモルフォーゼン》の半音階的なピッチクラスに基づいた旋律ラインは、以前のように埋もれることなく際立っている。同時に、わずかに調性的な志向も併せ持ったこの協奏曲は、表現の魅力に富んだ作品と言えるだろう。2017年にこの協奏曲でペンデレツキと共演し、好評を博した庄司紗矢香のパフォーマンスにに期待が高まる。

(6月24日更新)
[註]ペンデレツキ氏の高齢に伴う体力的な問題により、25日の東京公演における《平和のための前奏曲》の指揮者はマチェイ・トヴォレク氏に変更される。
【謹告】一部曲目における指揮者変更のお知らせ(2019.6/25 第880回 定期演奏会Bシリーズ)

クシシュトフ・ペンデレツキ
平和のための前奏曲(2009)
管楽器、ティンパニ、打楽器のための
Krzysztof Penderecki: Prelude for Peace for brass instruments, timpani and percussion
日本初演

ヴァイオリン協奏曲第2番「メタモルフォーゼン」(1992-95)
Krzysztof Penderecki: Metamorphosen―Concerto per violino ed orchestra no. 2

2019年6月20日[木]18:45 広島文化学園HBGホール[広島市文化交流会館]
庄司紗矢香(ヴァイオリン)、クシシュトフ・ペンデレツキ(指揮)、広島交響楽団
http://hirokyo.or.jp/musicforpeace
2019年6月25日[火] 19:00 サントリーホール
庄司紗矢香(ヴァイオリン)、クシシュトフ・ペンデレツキ(指揮)、東京都交響楽団
https://www.tmso.or.jp/j/concert/detail/detail.php?id=3232