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カプースチン逝去

2020年 7月 7日付

Nikolai Kapustin

photo © Schott Music / Peter Andersen

作曲家・ピアニストのニコライ・カプースチンが、今月2日モスクワで亡くなった。82歳だった。

1937年11月22日、ウクライナのホルリフカ生まれ。幼少期に母親にピアノを習い、13歳の時に初めて作曲した。14歳の時にモスクワに移り住む。モスクワ音楽院在学中、ジャズに魅せられ自身のアイデアを基に作曲を行なうようになる。また、ビッグバンドの一員として演奏活動も開始した。1961年同音楽院卒業後も、ビッグバンドのピアニストとして研鑽を積んだが、1980年に当時所属していたバンドのために書いた《協奏曲第2番》での演奏を最後に、以降自作のピアノ作品をラジオやテレビ収録で演奏するほかは、作曲に専念するようになった。

カプースチン作品における最大の特徴は、ジャズとクラシックが融合した独自の作風や、高度なテクニック・演奏効果の高さと言えるが、そうした持ち味が存分に活かされたピアノ作品は、のちにマルカンドレ・アムランやスティーブン・オズボーンといった優れた演奏家によって取り上げられ、彼の名前と作品が世に広く知れ渡るようになった。

生涯作曲した作品数は161を数える。その多くはピアノ曲であり、20のピアノ・ソナタのほかにピアノ協奏曲も6作品作曲した。

近年、日本においても《8つの演奏会用練習曲》(1984)や《24のジャズ前奏曲》(1988)といったピアノ作品が特に人気を博し、オーケストラ作品も複数初演されている。2016年には《協奏曲第3番》が、川上昌裕のピアノ、曽我大介指揮東京音楽大学学生有志オーケストラにより初演された。また、2018年に日本センチュリー交響楽団の定期演奏会において、《協奏曲第5番》が同じく川上昌裕のピアノ、飯森範親の指揮で日本初演されたのも記憶に新しい。

最近では《ソナチネ op.100》(2000)が国内のコンクール課題曲として取り上げられるなど、今日の日本において、カプースチンの音楽は奏者・聴衆ともに幅広い層のファンを獲得し、20・21世紀のクラシック音楽界におけるステータスを着実に築きつつある。

作品は、ショット・ミュージック(独)(Schott Music GmbH & Co. KG)より出版されている。


ニコライ・カプースチン氏のご冥福を心よりお祈りします。

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