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細川俊夫《「地震・夢」組曲》世界初演

2022年 11月 25日付

細川俊夫/Toshio Hosokawa

photo © Kaz Ishikawa

11月26日、イタリアのボローニャ市立劇場にて、細川俊夫の新作《「地震・夢」組曲》がマルコ・アンジュス指揮によるボローニャ市立歌劇場管弦楽団によって世界初演される。(当初、2020年11月に世界初演が予定されていたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、延期となった。)

この作品は細川のオペラ《地震・夢》より、主にオーケストラのみのシーンから編まれた組曲である。オペラの台本はハインリヒ・フォン・クライストの小説『チリの地震』を基に、ドイツを代表する作家マルセル・バイアーが書き下ろしており、初演は2018年7月にドイツのシュトゥットガルト歌劇場で、シルヴァン・カンブルランの指揮により行われた。この組曲は、オペラの初演者に敬意を表し、カンブルランに捧げられている。

オペラ《地震・夢》は、細川が2011年の東日本大震災以降に書き続けている祈りの音楽の系譜に連なる作品である。作品中では、自然の脅威と恩寵、集団心理が生むヒステリーと暴力の恐ろしさ、そして、人間の愛と連帯が描かれており、悲劇を乗り越え、いかに未来へと向き合うかという深い問いが表現されている。

《「地震・夢」組曲》は、地の底からわき上がるような打楽器の響きとそこから引き起こされる津波を予感させるような強烈な音響から始まる。恋人たちの束の間の穏やかな時間を優しく慈しむ音楽が奏でられた後、ファンファーレに導かれ集まった群衆たちは、次第に狂気に駆られた惨劇へと突き進む。群衆に惨殺された恋人たちと赤ん坊の死を悼む深い悲しみの音楽で作品は閉じられる。

オペラのエッセンスが見事に凝縮されたこの組曲もまた、現在のような非常時において、未来について考えさせる契機を人々にもたらしてくれるだろう。

細川俊夫
《「地震・夢」組曲》(2020)
オーケストラのための
Toshio Hosokawa : "Erdbeben. Träume" Suite for orchestra
世界初演
マルコ・アンジュス(指揮) ボローニャ市立歌劇場管弦楽団
2022年11月26日(土)20:30 ボローニャ市立劇場
https://www.tcbo.it/eventi/stagione-sinfonica-2022-angius/