細川俊夫 ギター独奏のための《日本の歌》世界初演
photo © Kaz Ishikawa
2月24日、ストックホルムにて、細川俊夫の新作《日本の歌》がギタリストのJacob Kellermannによって世界初演される。Kellermannの委嘱により作曲され、委嘱者であり、初演者でもある Kellermannに捧げられている。
この作品は、唱歌や童謡といった、古くから日本人に愛されてきた日本の歌をギターのために編曲した12の小品からなっている。2022年に11曲が新たに編曲され、既にある《さくら》の編曲を合わせて12曲となる。それぞれの小品は、1年の各月の季節を想定して選定されており、日本の色とりどりの四季を感じられる構成になっている。
各曲について、細川は以下のようにコメントしている。
- 春の小川(5月):小学校唱歌。岡野貞一作曲。1912年。小川の流れのような音型の反復による。
- 通りゃんせ(6月):江戸時代に生まれたとされる童歌。遊び歌。
- ふるさと(7月):1914年、小学校唱歌。岡野貞一作曲。
- 山寺の和尚さん(8月):1937年、童謡。服部良一作曲。
- 赤とんぼ(9月):1927年、童謡、山田耕作作曲。
- 荒城の月(10月):1901年、滝廉太郎作曲。
- 夕焼け小焼け(11月):1923年、童謡、草川信作曲。
- 雪の降る街を(12月):1952年、中田喜直作曲。
- お正月(1月):1901年、滝廉太郎作曲。新年が来る喜びを歌う子供たちの希望のうた。
- かあさんの歌(2月):1956年、窪田聡作曲。
- 江戸の子守唄(3月):江戸時代から伝わる子守唄。
- さくら(4月):日本古謡。*
( * 《さくら》の説明はショット・ミュージックによる追記。)
細川はこれまでに、《五木の子守歌》や《黒田節》など、様々な編成による日本民謡の編曲を手がけてきた。ギターのための小品集《日本の歌》は、日本人の心の奥深くに根付いているメロディを、より深く知り、深く味わうための細川のライフワークのひとつの集大成とも言える作品となっている。ギターの美しい音色が、素朴ながらも味わい深い日本の歌の良さを伝えてくれることだろう。
細川俊夫
《日本の歌》(2004/2022)
ギター独奏のための編曲作品
Japanese Songs for guitar solo arranged by Toshio Hosokawa
世界初演
Jacob Kellermann(ギター)
2023年2月24日(金)20:30 Konserthuset Stockholm
New Friday with Jacob Kellermann
https://www.konserthuset.se/en/programme/calendar/concert/2023/new-friday-with-jacob-kellermann/20230224-2030/