小出稚子《Güiro Güiro》世界初演
2023年9月23日に日本特殊陶業市民会館 フォレストホールで開催される名古屋フィルハーモニー交響楽団「第4回こども名曲コンサート〈オーケストラが奏でるおとぎ話〉」において、小出稚子の新作《Güiro Güiro(ギロ・ギロ)》が、川瀬賢太郎指揮の同交響楽団により世界初演される。
小出は今年4月から名古屋フィルハーモニー交響楽団のコンポーザー・イン・レジデンスを務めており、《Güiro Güiro》は同交響楽団からの委嘱第1作目となる作品。題名から推察される通り、打楽器のギロの特性に注目して書かれた、打楽器協奏曲的な性格を持つオーケストラ作品である。
作曲者のギロに対する愛情とその特性に対する柔軟な観察眼から、作品には、ギロそのものだけではなく、オーケストラの様々な楽器に見つけることができるギロ的特徴をうまく生かしたユニークな楽器の使用法が散りばめられている。
作品解説のなかで、小出は、日常生活においても、見方を変えれば、いろんなものが「ギロ」になる、と子どもたちに説明している。自らの視野を広く持つこと、物事をいろんな方向から捉えてみることを示唆する、子どもにも大人にも大切なことを伝える内容と言えるだろう。
小出はギロの特徴として「ギロから出る音の一粒一粒は点なのに、集まると線に聞こえる」ことを挙げており、そして、それは「点なのか線なのか?点と線の境界線はどこだろう?」という、作曲者が近年の関心事として挙げている「境界線の曖昧さ」の問題とも密接に結びついている。様々な境界線を飛び越えて、どのような音楽が飛び出してくるのか、期待が高まる。
ちなみに、この作品には、木製のカエルのギロが10匹登場することになっている。ぜひ現場で、その存在を確認して、どんな音がするのか、目を凝らして、耳を澄ませてみてもらいたい。
小出稚子
《Güiro Güiro(ギロ・ギロ)》(2023)
オーケストラのための
Güiro Güiro
for orchestra
【世界初演】
川瀬賢太郎(指揮) 名古屋フィルハーモニー交響楽団
第4回こども名曲コンサート〈オーケストラが奏でるおとぎ話〉
2023年9月23日(土・祝)14:00 日本特殊陶業市民会館 フォレストホール(愛知)
https://www.nagoya-phil.or.jp/2023/0120122635.html