権代敦彦《時と永遠をつなぐ絃》世界初演
photo © Michiharu Okubo
2月28日に三井住友海上しらかわホールで行われる愛知室内オーケストラ第72回定期演奏会にて、権代敦彦《時と永遠を結ぶ絃》が辻 彩奈のヴァイオリン独奏、山下一史指揮の同オーケストラにより世界初演される。
ヴァイオリンとオーケストラのための《時と永遠を結ぶ絃》は、権代の近作と同様に、「si」(=死)の音を中心音として作曲されている。コロナ禍で死と隣り合わせの状況となり、出口の見えない暗い道のりを歩く人々への灯火となるようにと願った《たとえ死の陰の谷を歩むとも》、コロナ禍の制限により、人々が声を合わせて歌うことができないコラールをヴィオラの「音」とピアノの「響」に託して歌い上げる《無言のコラール集》と、権代は常に苦しみのうちにある人々の心に寄り添って作品を書いてきた。
作曲家によると、今回の新作《時と永遠を結ぶ絃》は、とある人へのレクイエムとされており、旅立った魂に寄り添い、その永遠の旅路の導きとなるべき音楽として書かれたようである。
ヴァイオリン独奏を務めるのは、2019年に権代に《ポスト・フェストゥム》を委嘱し、献呈されている辻 彩奈。彼女の力強く美しい絃の響きは、オーケストラとともにその旅立った魂に温かく、優しく寄り添ってくれることだろう。
図らずも、年明けから大変なことが続いた本年。聴き手にとっても、大切な人を想い、心を寄せるひと時になるのではないだろうか。
権代敦彦
《時と永遠を結ぶ絃》(2023)
ヴァイオリンとオーケストラのための
Atsuhiko Gondai: Strings between Time and Eternity for violin and orchestra
世界初演
辻 彩奈(ヴァイオリン)、山下一史(指揮)、愛知室内オーケストラ
2024年2月28日(水)18:45 三井住友海上しらかわホール
https://ac-orchestra.com/20240228-aco72/