小出稚子《くじら》世界初演

photo © JUMPEITAINAKA
2025年11月24日に日本特殊陶業市民会館 フォレストホールで開催される名古屋フィルハーモニー交響楽団「第9回こども名曲コンサート〈Step 2「オーケストラが奏でる動物」〉」において、小出稚子の新作《くじら》が、横山奏指揮の同交響楽団により世界初演される。
広大な海の中でクジラやイルカなどの生物が音によるコミュニケーションを取ること、そして、クジラの中でもヒゲクジラの仲間であるザトウクジラやシロナガスクジラは「声」を発することはよく知られている。特にザトウクジラの「歌」は有名で、長年の研究によりフレーズとテーマを組み合わせた複雑な構造を持っていることがわかっている。
ザトウクジラが歌うのは、オスからメスへの求愛行動、仲間とのコミュニケーション、縄張りの主張などの意味があると言われているが、今回、作曲家が注目したのは、求愛の歌だ。ザトウクジラの歌の録音から聴き取った音を元に作曲しており、小出は「くじらが作曲して、私がアレンジした曲と言った方が正確なのかもしれません」と述べている。
この作品では、コンサートの前に会場で子供たちに「オーシャンドラム」をそれぞれ手作りしてもらい、演奏に参加してもらう。それによって、会場全体が大きな海へと変わり、そこにザトウクジラがやってくるという仕掛けだ。
クジラたちの歌に耳を傾けることは、私たちを取り巻く自然、未知なる海の神秘の声を聴くことに他ならない。ただ聴くだけでなく、自ら演奏に参加してもらうことにより、より身近に自然を感じ、そこに息づく生物たちの声に興味を持ってもらうことに繋がるだろう。
深刻な環境破壊、その影響による温暖化・気候変動など、我々は大きな問題に直面している。その未来をより良いものとするためにも、我々が共存する自然へ目を向けることを怠ってはならない。小出のコンポーザー・イン・レジデンスとしての最後の作品となる今作は、そんな未来への大きな問いかけとも言えるかもしれない。子供たちが楽しみながら、それぞれにその答えを見つけてくれることを願いたい。
小出稚子
《くじら》(2025)
オーケストラのための
Whale
for orchestra
【世界初演】
横山奏(指揮) 名古屋フィルハーモニー交響楽団
第9回こども名曲コンサート〈Step 2「オーケストラが奏でる動物」〉
2025年11月24日(月)14:00
Niterra日本特殊陶業市民会館[名古屋市民会館] フォレストホール(愛知)
https://www.nagoya-phil.or.jp/2025/010400144629580.html