日生劇場オペラ《アイナダマール》日本初演
Robson Fernandjes © 2010
オペラ《アイナダマール》。グラミー賞『最優秀クラシック現代作品』及び『最優秀オペラ録音』の2冠を達成した話題作オペラの日本初演が、この11月に東京の日生劇場で行われます。2012年と13年に、アリベルト・ライマン作曲のオペラ《メデア》と《リア》の日本初演を成功させ、同時代オペラの魅力を多くのオペラ・ファンに届けた日生劇場が贈る、注目の公演です。
オズバルド・ゴリホフ作曲のオペラ《アイナダマール》は、20世紀初頭スペインのグラナダに生きた伝説的な詩人/劇作家フェデリコ・ガルシア・ロルカ(1898-1936)を題材とした1幕のオペラ。台本はデイヴィッド・ヘンリー・ウォンによるもの。ロルカの友人であった女優マルガリータ・シルグの回想によって、時間と場所を行き来しながら、彼の様々な人生の場面を描いています。アラビア語で「涙の泉」を意味する「アイナダマール」とは、グラナダ近郊ビスナールの泉「フェンテ・グランデ」の別名。ロルカはスペイン内戦の最中1936年に、この場所の近くでファシスト党員によって銃殺されたと伝えられています。
スコアは、マルガリータ役(ソプラノ)、ヌリア役(ソプラノ)、そして女声によって演じられるロルカ役(アルト)の3つの女声パートを軸に、フラメンコやそのルーツであるアラブ音楽、さらにユダヤ音楽、南米音楽などが混合された、非常に独特かつ現代的なスタイルで書かれています。ボストン交響楽団による委嘱、2003年のタングルウッド現代音楽祭においてドーン・アップショウらによる初演が行われて以来、これまでに世界中で100回近くの上演が行われてきました。
11月の日本初演は、粟國淳の演出による新制作で、2日間全2回の公演です。横山恵子/飯田みち代(マルガリータ)、見角悠代/馬原裕子(ヌリア)、清水華澄/向野由美子(ロルカ)らダブルキャストによる主演ほか、ルイス・アロンソ役に石塚隆充(フラメンコ歌手)が全日出演。管弦楽は広上淳一指揮、読売日本交響楽団です。
作曲家のゴリホフ(1960〜)は、東欧系ユダヤ人の両親のもとアルゼンチンで育ち、エルサレムのルービン・アカデミーで音楽を学んだ後、アメリカでジョージ・クラム、オリヴァー・ナッセンに師事。代表作に、グラミー賞ノミネート室内楽作品集『Yiddishbbuk』(演奏:セント・ローレンス弦楽四重奏団/EMI)、クロノス・カルテットとのコラボレーション《盲目イサクの夢と祈り》、ドーン・アップショウ(ソプラノ)が初演を歌った《ソプラノのオーケストラのための3つの歌》、歌曲集《アイレ》など。2000年に初演された、シュトゥットガルト国際バッハアカデミー委嘱「J・S・バッハ没後250年記念作品」では、キューバやブラジルなどのラテン・パーカッションを全面的に取り入れた《マルコ受難曲》を発表し、大きな話題となりました。フランシス・フォード・コッポラ監督の映画『コッポラの胡蝶の夢』(2007)、『テトロ 過去を殺した男』(2008)、サリー・ポッター監督『耳に残るは君の歌声』(2000)など、映画のサウンド・トラックも多く手がけています。
NISSAY OPERA 2014
オペラ「アイナダマール」日本初演
2014年11月15日/16日 日生劇場
http://www.nissaytheatre.or.jp/nissay_opera/program2014/