エイノユハニ・ラウタヴァーラ逝去
© Maarit Kytöharju-Fimic
エイノユハニ・ラウタヴァーラEinojuhani Rautavaaraが7月27日、ヘルシンキにて87歳で亡くなった。ラウタヴァーラはフィンランドの作曲家で、常に彼の世代を牽引してきた。彼は8つの交響曲と7つのオペラの他、声楽曲、合唱曲、室内楽曲、器楽曲、協奏曲、管弦楽曲と幅広いレパートリーにおいて多くの作品を生み出してきた。
ラウタヴァーラは1928年、ヘルシンキに生まれ、1948年から52年までシベリウス音楽院でアーッレ・メリカントに、1955〜56年にはニューヨークのジュリアード音楽院でヴィンセント・パーシケッティにそれぞれ師事、1955年にタングルウッドでロジャー・セッションズとアーロン・コープランドに学んでいる。同年、シンシナティでソア・ジョンソン作曲賞を獲得した《我らの時代のレクイエム A Requiem in Our Time》で初めて国際的な注目を集めた。彼はセリー主義や12音技法を研究したが、彼の本質にあるロマン主義を失うことはなかった。
1960年代後半にラウタヴァーラはセリー主義から離れ、親しみやすく喚情的な、色彩とメロディーのある音楽とともに、彼の神秘的性格が前面に現れるようになる。《ヴィンセント Vincent》(1986-87)、《アレクシス・キヴィ Aleksis Kivi》(1995-96)、《ラスプーチン Rasputin》(2001-03)などに見られるように、彼のオペラはしばしば創造性と狂気の問題を探求したものとなった。そして、フィラデルフィア管弦楽団委嘱による交響曲第8番《旅 The Journey》(1999)、ミネソタ管弦楽団委嘱によるハープ協奏曲(1999-2000)、リチャード・ストルツマンとワシントン・ナショナル交響楽団委嘱のクラリネット協奏曲(2001-02)など、次第に彼はフィンランド国外から交響曲や協奏曲を委嘱されるようになった。
ここ10年間のラウタヴァーラによる作品には、管弦楽曲《生のタペストリー Tapestry of Life》(2007)やコリン・カリー委嘱の打楽器協奏曲《呪文 Incantations》(2008)、チェリストのトルルス・モルク委嘱作品《地平線に向かって Towards the Horizon》(2008-09)、そして五嶋みどりによってツアー演奏された《Summer Thoughts》(2008)などがある。《ミサ・ア・カペラ Missa a cappella》(2010-11)はオランダ、オーストラリア、イギリス、スウェーデン、ドイツ各国で初演され、オストロボスニア室内管弦楽団委嘱の《Into the heart of light》(2011)は2012年にスコットランド室内管弦楽団によるツアーで演奏された。ロルカのテクストによる、合唱と管弦楽のための《バラダ Balada》は2015年にマドリッドで初演された。彼の存命中に行われた最後の初演は、2016年6月25日、マルクス・クリードの指揮SWRシュトゥットガルト声楽アンサンブルの演奏による、無伴奏合唱のための《Orpheus singt》(詞:ライナー・マリア・リルケ)となった。
ご遺族の皆様へ心よりお悔やみを申し上げるものである。
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以上、ブージー・アンド・ホークス社の記事より翻訳転載
Used by kind permission of Boosey & Hawkes.