新刊楽譜 細川俊夫《エチュード I-VI》ピアノのための
© Kaz ishikawa
長らく出版が待ち望まれていた細川俊夫作曲によるピアノのための《エチュード I-VI》が、ショット・ミュージックの新刊楽譜として9月に発売される。2011年から2013年までの間に作曲された全6曲の《エチュード》を1冊に収めている。
作品について細川は次のように述べている。「私にとってピアノという楽器は、ヨーロッパ音楽から生まれた楽器の粋であり、私の東洋的な考え方から生まれる音楽言語を実現するのは、極めて難しい楽器である。そのピアノを使って、どのように自分自身の独自性を持った音楽を実現するか、という課題を自分に課した『エチュード』が、この6つのエチュードである」。
各曲では、その副題が象徴的に表しているように、それぞれの作曲のうえでのアイデアと細川の美学が明確に表現されている。技巧的要求も充分に高い《エチュード》は、演奏会用ピアノ音楽の新たなレパートリーとなるだろう。
第1曲は2011年に第58回ブゾーニ国際ピアノコンクールの本選課題曲として作曲され、2012年に改訂された後、伊藤恵が改訂版の初演を行った。第2曲は中電不動産株式会社の委嘱によって作曲され、小菅優によって初演されている。第3曲から第6曲はルツェルン音楽祭、東京オペラシティ文化財団、ウィグモア・ホール(ホフマン財団のアンドレ・ホフマン氏から助成を受けて)の共同委嘱によって作曲され、児玉桃が2013年11月にルツェルン・ピアノ音楽祭で初演を行った。同演奏会で児玉は全6曲を演奏している。
細川俊夫 Toshio Hosokawa 菊倍判 / 60 ページ |
収録作品
エチュード I ―2つの線―(2011/2012)ca. 5’15”
エチュード II ―点と線―(2012)ca. 7’00”
エチュード III ―書(カリグラフィー)、俳句、1つの線―(2013/2014)ca. 2’10”
エチュード IV ―あやとり、2つの手による魔法(呪術)、3つの線―(2013)ca. 9’30”
エチュード V ―怒り―(2013)ca. 3’30”
エチュード VI ―歌、リート―(2013/2014)ca. 5’00”