細川俊夫《嘆き》&《夢を織る》 藤村実穂子、ジョナサン・ノット指揮東響 & 準・メルクル指揮PMF
© Kaz ishikawa
細川俊夫作曲による2つのオーケストラ作品が、7月にそれぞれ川崎と札幌で演奏される。藤村実穂子(メゾ・ソプラノ)とジョナサン・ノット指揮東京交響楽団の演奏による《嘆き》、そして準・メルクル指揮PMFオーケストラによる《夢を織る》、いずれも15・16日の2日間にわたる同日程の公演となる。
ゲオルク・トラークルの詩による《嘆き Klage》は、もともとソプラノとオーケストラのための作品として、2013年のザルツブルク音楽祭でアンナ・プロハスカとシャルル・デュトワ指揮NHK交響楽団による世界初演が行われた。その後、2015年の京都市交響楽団ヨーロッパ公演の際、細川自身によって、藤村実穂子による演奏のために独唱をメゾ・ソプラノ音域に変えた版が作られた。このヨーロッパ公演では、ドイツ、オランダ、ルクセンブルクで演奏されている。今回、東響コーラス創立30周年記念公演となるミューザ川崎での演奏は、天羽明惠(ソプラノ)がソリストを務めるマーラー《交響曲第2番「復活」》とのカップリングとなっている。ノット指揮東響は一昨年の7月に細川の代表作《循環する海》を演奏し、抑制の効いたアプローチで精緻な音響を作り上げ、好評を得た。
札幌で開催される国際教育音楽祭パシフィック・ミュージック・フェスティバル(PMF)では、今年の首席指揮者を務める準・メルクルが、オーケストラのための《夢を織る Woven Dreams》を指揮する。本作はロシュ・コミッション(註)によって作曲され、2010年ルツェルン音楽祭でフランツ・ウェルザー=メスト指揮クリーヴランド管弦楽団によって初演が行われた。メルクルは日本初演を含め、これまでにNHK交響楽団、ケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団、BBCウェールズ・ナショナル管弦楽団を指揮して本作を演奏している。数々の演奏と録音を通じて細川の音楽を熟知するメルクルが、若い演奏家を中心に構成されるPMFオーケストラの魅力を引き出す公演となりそうだ。
註:スイスに本社を持つ国際的な医薬関連企業であるロシュが、ルツェルン音楽祭、カーネギー・ホール、クリーヴランド管弦楽団の推薦にもとづき、優れた現代音楽の作曲家に贈る新作委嘱。
《嘆き》メゾ・ソプラノとオーケストラのための
2017年7月15日(土)18:00/16日(日)14:00
ミューザ川崎シンフォニーホール(神奈川)
藤村実穂子(メゾ・ソプラノ) ジョナサン・ノット(指揮) 東京交響楽団
http://tokyosymphony.jp/pc/concerts/detail?p_id=B4PjISusjhU%3D&month=07
《夢を織る》オーケストラのための
2017年7月15日(土)17:00/16日(日)14:00
札幌コンサートホールKitara(北海道)
準・メルクル(指揮) PMFオーケストラ
https://www.pmf.or.jp/jp/schedule/2017/pmfo-a1.html