新刊楽譜:『和の歌─日本の歌によるピアノ作品集』
Aska Iino, photo © Mineko Orisaku
『和の歌─日本の歌によるピアノ作品集』は、ピアニスト飯野明日香の委嘱により、日本の若い世代の10人の作曲家がそれぞれに選んだ日本の歌にインスピレーションを受けて書き下ろした、ピアノ独奏のための曲集である。2020年4月25日に飯野の演奏による全曲が収録されたCD『和の歌』[カメラータ・トウキョウ/CMCD-28373]がリリースされた。
飯野は現代音楽の演奏をライフワークのひとつとし、2014年度第52回レコード・アカデミー賞(現代曲部門)を受賞するなど注目を集めるピアニストである。2012年にリリースしたCD『一柳慧 ピアノ作品集』[カメラータ・トウキョウ/CMCD-28269]は、『レコード芸術』特選盤、朝日試聴室推薦盤となるなど、高く評価された。2017年には、一柳慧/飯野明日香《ジャズ・ファンタジー―ピアノ協奏曲第4番「ジャズ」による―》、湯浅譲二《内触覚的宇宙 II》、細川俊夫《エチュード IV》など現代の日本人作曲家による8作品を収録したCD『JAPAN NOW』[カメラータ・トウキョウ/CMCD-28349]もリリースしている。今回の企画も、現代に生まれる音楽に注目し演奏を続けてきた飯野の意欲的な取り組みとなっている。
今回出版された楽譜に収められた各作品では、日本の童謡や唱歌を連想させる響きが随所で顔を覗かせるものの、音楽はそれらの歌からは自由に展開していく。親しまれてきた「歌」をとらえ直す10人の作曲家たちそれぞれの視点と、彼らが織りなす響きの多彩さを楽しめる一冊となっている。日本の歌を源として展開されるイマジネーションは、共感を呼ぶだけでなく、新たな発見ももたらしてくれるだろう。
2021年5月22日には、東京で飯野明日香により全曲が初演される。公演当日、会場で新刊楽譜の先行販売が予定されている。
ショット・ミュージックのオンラインショップでは、5月24日から販売が開始される。
[飯野明日香 Parfum du Futur Vol. 21「新たな出会い」]
5月22日(土)14:00 サントリーホール ブルーローズ(小ホール)(東京)
全曲委嘱新作 世界初演
https://www.suntory.co.jp/suntoryhall/schedule/detail/20210522_S_2.html
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和の歌 日本の歌によるピアノ作品集
ピアノのための
WANOKA―Japanese Traditional Songs for Piano
ピアノ譜
菊倍判/120ページ
SJ 850
平川加恵:ずいずいFantasy
Kae Hirakawa: Zui Zui Fantasy
川島素晴:白河踊りメタモルフォーゼ
Motoharu Kawashima: Metamorphosis of Shirakawa Odori
小出稚子:うさぎのダンス
Noriko Koide: Rabbit Dance
篠田昌伸:ゲートキーパー
Masanobu Shinoda: Gatekeeper
挾間美帆:コラール―「からたちの花」メロディーによる
Miho Hazama: Chorale from Melody of Karatachi no Hana
金子仁美:日本の唱歌「雪」による変奏曲―3Dモデルによる音楽IV
Hitomi Kaneko: Yuki (Snow)
法倉雅紀:茜草指(あかねさす)第3番―独奏ピアノのための
Masaki Norikura: Akane Sasu No. 3 for Piano Solo
鈴木純明:いそいそパラフレーズ
Jummei Suzuki: Isoiso Paraphrase
山田武彦:七里ヶ浜の哀歌(真白き富士の嶺)による変奏曲
Takehiko Yamada: Variations on a Theme of an Elegy of Shichirigahama
川上 統:夕空の泉に
Osamu Kawakami: For Fountain of Dusk
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