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川上統《組曲「ビオタの箱庭」》世界初演

2022年 1月 7日付

川上統 / Osamu Kawakami

photo © Yuya Miyagawa

川上統の新作《組曲「ビオタの箱庭」》が、1月8日、神奈川県民ホールが企画した「C x C(シー・バイ・シー)作曲家が作曲家を訪ねる旅 」において世界初演される。

「C x C」は、2021年春に始動した同ホールで行われる新しいシリーズ「C x (シー・バイ)」のひとつで、Composer x Composer、すなわち、記念年を迎える作曲家と現在活躍中の若手作曲家の世界を交差させることで、過去、現在、未来をつなぎ、新しい創造の場を生み出そうとする試みである。

川上自身が監修を務める「C x C」2回目のコンサートで組み合わせられるのは、2021年に没後100年を迎えたサン=サーンスの《動物の謝肉祭》と川上の新作《組曲「ビオタの箱庭」》である。室内楽のための《組曲「ビオタの箱庭」》は、今回のコンサートのために神奈川県民ホールが川上に委嘱したもので、作曲家によると、《動物の謝肉祭》の構成に呼応する形で書かれた14曲の小曲からなる組曲である。

今回の新作においても、これまでの作品と同様、川上の生物への深い関心と鋭い観察眼が十分に活かされているが、サン=サーンスの作品との相対性を考慮することにより、作曲家自身の好みとは異なった生物を題材に選んでいたり、サン=サーンスが異文化への強い興味を持っていたことにちなみ、多様な地域の生物を作品に取り入れるなど、新しい試みも見られる。

「ビオタ(生物相)」とは、特定の地域に生息・生育する生物の種類組成を意味する言葉。「植物相」と「動物相」を合わせた概念で、より広義には、「微生物相」も含まれるとされる。「箱庭」のアイデアは、サン=サーンスが活躍した時代のヨーロッパで、万博などの影響からシダのような植物が流行し、温室やガラスのケースに入れて愛でていたというところから着想されている。

この公演には、昨年、川上の《オトヒメエビ》をヴァイオリンの諏訪内晶子とともに素晴らしい演奏で初演したピアノの阪田知樹をはじめ、様々な方面で活躍中の気鋭の若手演奏家たちが参加する。サン=サーンスの《動物の謝肉祭》と川上の多様性に富んだ新作の刺激的な競演に期待が高まる。

川上統 Osamu Kawakami
組曲「ビオタの箱庭」
室内楽のための
Suite “Un Jardin Miniature de Biota” for chamber ensemble

【世界初演】
「C x C(シー・バイ・シー)作曲家が作曲家を訪ねる旅 」
出演:多久潤一朗(フルート)、芳賀史徳(クラリネット)、西久保友広、藤井里佳(以上、打楽器)、阪田知樹、中野翔太(以上、ピアノ)、尾池亜美、戸原直(以上、ヴァイオリン)、安達真理(ヴィオラ)、荒井結(チェロ)、内山和重(コントラバス)

2022年1月8日[土]15:00 神奈川県民ホール小ホール(横浜)
https://www.kanagawa-kenminhall.com/event/detail?id=37365

[関連情報]
特設サイト:C x C(シー・バイ・シー)作曲家が作曲家を訪ねる旅
https://www.kanagawa-kenminhall.com/cby2021/index.html