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7月下旬 注目の初演が続く:細川俊夫、小出稚子、鈴木優人

2023年 7月 20日付

鈴木優人/小出稚子

photo © Marco Borggreve (left)

7月下旬、注目すべき初演が続く。それぞれに目覚ましい活躍を続ける作曲家たちの最新作を、ぜひ会場で体感していただきたい。


読売日本交響楽団第259回マチネーシリーズにおいて、鈴木優人が指揮とチェンバロ、ヨーロッパの古楽シーンで活躍するアンドレアス・ベーレンがリコーダーで参加し、F. クープランの組曲集《諸国の人々》より第4組曲〈ピエモンテの人々〉が演奏される。今回の演奏会のために鈴木独自の楽器編成と演奏解釈による楽譜が製作され、その楽譜による世界初演となる。

フランソワ・クープラン(鈴木優人 編)
《諸国の人々》より第4組曲〈ピエモンテの人々〉(2023)
リコーダー、フルート、オーボエ、バスーン、弦楽アンサンブルと通奏低音のための
Quatrième ordre ‘La Piémontoise’ from “Les Nations”
for recorder, flute, oboe, bassoon, string ensemble and basso continuo
【世界初演】
アンドレアス・ベーレン(リコーダー) 鈴木優人(チェンバロ、指揮) 読売日本交響楽団
第259回土曜マチネーシリーズ
2023年7月22日(土)14:00 東京芸術劇場(東京)
https://yomikyo.or.jp/concert/2022/12/259.php
第259回日曜マチネーシリーズ
2023年7月23日(日)14:00 東京芸術劇場(東京)
https://yomikyo.or.jp/concert/2022/12/259-1.php


細川俊夫の新作、混声合唱のための《暗きより》が「エレジー Elegie」と題されたSWRヴォーカル・アンサンブルのコンサートにおいて世界初演される。

歌詞は平安中期の宮廷女流詩人であった和泉式部の和歌である。和泉式部は優れた歌人として評価されつつも、恋多き女性として多くの浮名を流したともされている。一方で、仏教的な救済を求める側面も持っていたとされており、作曲家はこの和歌にその祈りの表現を見出している。

暗きより 暗き道にぞ 入りぬべき
はるかに照らせ 山の端の月

作曲家によると、「シンプルなメロディーのカノンによる堆積によって、ハーモニーが生み出されていく。そしてそのハーモニーは少しずつ変化して、月の光を暗示する。」

細川俊夫《暗きより》(2022)
混声合唱のための
From the Darkness for mixed chorus
【世界初演】
Martina Batič(指揮) SWRヴォーカル・アンサンブル
2023年7月25日(火)19:30 Evangelische Stadtkirche Karlsruhe(カールスルーエ, ドイツ)
https://www.swr.de/swr2/musik-klassik/vokalensemble/veranstaltung-25-07-2023-karlsruhe-100.html
2023年7月26日(水)20:00 聖カストル大聖堂(コブレンツ, ドイツ)
https://www.swr.de/swr2/musik-klassik/vokalensemble/veranstaltung-26-07-2023-koblenz-100.html
2023年7月29日(土)20:00 Evangelische Kirche in Stuttgart(シュトゥットガルト, ドイツ)
https://www.swr.de/swr2/musik-klassik/vokalensemble/veranstaltung-29-07-2023-stuttgart-104.html


昨年11月、BBC Proms Japanにて世界初演され、好評を博した小出稚子の《揺籠と糸引き雨》が、この夏、本国イギリスのBBC Promsに登場する。オーケストラは世界初演に続きBBC交響楽団、指揮には新たにエリム・チャンを迎えてのイギリス初演となる。小出の独特な世界観による音楽がヨーロッパの聴衆に鮮烈な印象を残すことだろう。

[BBCプロムス 2023]
小出稚子
《揺籠と糸引き雨》(2022)
オーケストラのための
Swaddling Silks and Gossamer Rain for orchestra
【イギリス初演】
エリム・チャン(指揮) BBC交響楽団
2023年7月25日(火)19:00 ロイヤル・アルバート・ホール(ロンドン, イギリス)
https://www.bbc.co.uk/events/eb59hn

[関連ニュース]
小出稚子《揺籠と糸引き雨》世界初演(2022年10月20日付)

今年3月のベルリンにおける世界初演が記憶に新しい細川俊夫の《祈る人》が、早くも日本初演を迎える。ソリストは世界初演、6月のルツェルンでのスイス初演に続き、この作品を捧げられている樫本大進が務める。細川作品のよき理解者である樫本と読売日本交響楽団による演奏は、より深い精神世界を聴かせてくれることだろう。

細川俊夫
《祈る人》(2022-23)
ヴァイオリンとオーケストラのための
Prayer for violin and orchestra
【日本初演】
樫本大進(ヴァイオリン) セバスティアン・ヴァイグレ(指揮) 読売日本交響楽団
2023年7月27日(木)19:00 サントリーホール(東京)
https://yomikyo.or.jp/concert/2022/12/630-1.php

[関連ニュース]
細川俊夫 ヴァイオリンとオーケストラのための《祈る人》世界初演(2023年2月28日付)