湯浅譲二《哀歌 》尾高賞受賞/Music Tomorrow 2024/藝大21 創造の杜 2024
photo Joji Yuasa © Jun'ichi Ishizuka (left) / Peter Eötvös © Marco Borggreve (right)
今年2月16日、湯浅譲二による《
同作品は5月28日、東京オペラシティコンサートホールで開催される「Music Tomorrow 2024」において、ペーター・ルンデル指揮、NHK交響楽団によって演奏される。同公演ではこの他、ペーテル・エトヴェシュの《マレーヴィチを読む》と《ハープ協奏曲》の日本初演も予定されている。
湯浅譲二による打楽器、ハープ、ピアノ、弦楽オーケストラのための《
エトヴェシュ作曲、オーケストラのための《マレーヴィチを読む》(2018)は、タイトルが示す通り、「ロシア・アヴァンギャルド」を代表する芸術家、カジミール・マレーヴィチ(1879 - 1935)の作品「シュプレマティスム No. 56」を題材として、視覚的イメージを音楽に変換しようと試みた、色彩豊かな作品。2018年夏のルツェルン・フェスティバル委嘱作品として、マティアス・ピンチャー指揮、ルツェルン音楽祭アカデミー管弦楽団により世界初演されている。
《ハープ協奏曲》(2022-23)は今年1月に世界初演されたばかりの新作。フランス放送フィルハーモニー管弦楽団、ベルリン放送管弦楽団・合唱団有限会社、スイス・ロマンド管弦楽団、ウィーン楽友協会、ポルト・カーザ・ダ・ムジカ、NHK交響楽団による共同委嘱作品で、世界初演を指揮したゲルゲイ・マダラシュをはじめ、ドイツ初演のマティアス・ピンチャー、スイス初演のジョナサン・ノットなど錚々たる顔ぶれの指揮者が各国初演を飾っている。世界初演からすべての公演のソリストを務めてきたグザヴィエ・ドゥ・メストレのハープと、エトヴェシュの愛弟子のひとりであり、現代音楽のレパートリーに定評のあるルンデルの指揮による日本初演に期待が高まる。
エトヴェシュは、当初、Music Tomorrow 2024のために来日し、2作品を自身の指揮で日本初演する予定であった。残念ながら3月に逝去し、それも叶わなくなってしまったが、彼の遺志を継ぐ次世代の素晴らしい演奏家たちによる演奏が彼の功績を余すことなく伝えてくれる時間となることだろう。
5月31日に行われる東京藝術大学の演奏会企画「藝大21 創造の杜 2024」では、エトヴェシュがテーマとして取り上げられ、《フォーカス》(2021)の日本初演を含む、《セイレーンの歌》(2020)、《スピーキング・ドラム》(2012/2013)、《鷲は音もなく大空を舞い》(2011/2016)の4作品が演奏される予定。
エトヴェシュの音楽による「語り」に注目し、様々な器楽編成の作品を通して、エトヴェシュが自身の音楽の中心的な創作姿勢としてきた聴衆との音楽的対話を見つめようとする意欲的な企画となっている。Music Tomorrow 2024と合わせて、エトヴェシュ作品に深く触れるよい機会となりそうだ。
- NHK交響楽団
Music Tomorrow 2024 - 2024年5月28日[火]19:00 東京オペラシティ コンサートホール(東京)
* 18:30 尾高賞授賞式とプレトーク
https://www.nhkso.or.jp/concert/20240528.html
湯浅譲二《哀歌 ―for my wife, Reiko―》(2023)
打楽器、ハープ、ピアノ、弦楽オーケストラのための
エトヴェシュ《マレーヴィチを読む》(2018)[日本初演]
エトヴェシュ《ハープ協奏曲》*1(2023)[日本初演]
グザヴィエ・ドゥ・メストレ *1(ハープ) ペーター・ルンデル(指揮) NHK交響楽団 - 藝大21 創造の杜 2024 作曲家 ペーテル・エトヴェシュ
- 2024年5月31日(金) 19:00 東京藝術大学奏楽堂
* 18:30 プレトーク
https://www.geidai.ac.jp/container/sogakudo/135901.html
《セイレーンの歌》(2020)
《スピーキング・ドラム》 *1(2012/2013)
《フォーカス》(2021)*2【日本初演】
《鷲は音もなく大空を舞い》(2011)
藤本隆文 *1(打楽器) 須川展也 *2(サクソフォン) ジョルト・ナジ(指揮) 藝大フィルハーモニア管弦楽団