サントリーホールサマーフェスティバル2024

細川俊夫／Toshio Hosokawa

photo © Kaz Ishikawa

サントリーホール主催の現代音楽の祭典、「サマーフェスティバル」が8月22日から29日までの日程で開催される。今年も「ザ・プロデューサー・シリーズ」「国際作曲委嘱シリーズ」「芥川也寸志サントリー作曲賞選考演奏会」の3つのプログラムを軸に展開される。

今年の「ザ・プロデューサー・シリーズ」は「アーヴィン・アルディッティがひらく」と題し、アルディッティ弦楽四重奏団の創始者にして、ソリストとしても活躍するアーヴィン・アルディッティを迎える。多くの同時代作曲家から作品を献呈され、多くの同時代作品を初演してきたアルディッティは、「まず何よりも、新しく作曲された音楽に、聴いてもらえる機会を作ることが大事だ」という。

3つの室内楽コンサートとオーケストラ・プログラムの全4公演で取り上げられる作品は、長年の友人であったクセナキスをはじめ、ハーヴェイ、ラッヘンマン、カーター、バートウィッスル、ファーニホウ、レイノルズ、そして今年の「テーマ作曲家」であるマヌリと、現代音楽を縦横無尽に演奏してきたアルディッティと彼の弦楽四重奏団の50年の軌跡が集約されている。

ここに武満徹、西村朗、細川俊夫といった日本の作曲家の作品が加わり、さらに坂田直樹とイルダ・パレデスの新作が世界初演される。なかでも細川の2つの作品は、アルディッティ弦楽四重奏団の歴史と、細川と彼らの長きにわたる親交を物語る。

弦楽四重奏とオーケストラのための《フルス（河）》は、2014年にアルディッティ弦楽四重奏団の結成40周年を記念して作曲され、ケルン・フィルハーモニーにて、同弦楽四重奏団とペーター・ルンデル指揮、ケルンWDR交響楽団によって世界初演され、2017年に同じく同弦楽四重奏団と大野和士指揮、東京都交響楽団によって日本初演が行われている。

ピアノ五重奏のための《オレクシス》は、同じく彼らの結成50周年を記念して作曲され、今年3月にベルリン・フィルハーモニーにて、同弦楽四重奏団と北村朋幹によって世界初演されたばかり。今回の日本初演も同じメンバーによる演奏で行われる。

「国際作曲委嘱シリーズ」は、ライヴ・エレクトロニクス音楽の第一人者、フィリップ・マヌリを「テーマ作曲家」に迎え、新作初演を含むオーケストラ・プログラム、作曲家ワークショップ × トークセッション、および室内楽ポートレートを通して同作曲家を特集する。オーケストラ・プログラムでは、マヌリにとってのフランスの先達のひとりとして、ブーレーズが取り上げられ、《ノタシオン I - IV、VII》が演奏される。