コンポージアム2025:ゲオルク・フリードリヒ・ハースの音楽
photo © Universal Edition / Eric Marinitsch
いまや現代音楽シーンに欠かせないイベントとなった、東京オペラシティ文化財団の同時代音楽企画「コンポージアム2025」が、今年も5月の後半に開催される。今回のテーマ作曲家はオーストリア生まれのゲオルク・フリードリヒ・ハース。3日間にわたる同企画では、トークセッション、2つの日本初演作品を含む管弦楽コンサート、そしてハースが審査を務める武満徹作曲賞の演奏会が予定されている。
ウィーンでフリードリヒ・ツェルハに師事し、ダルムシュタット夏期現代音楽講習会やIRCAMでも学んだハースは、現在、トリスタン・ミュライユの後任としてニューヨークのコロンビア大学作曲科教授を務める。その音楽をもっとも特徴づけるのは、微分音を駆使して展開する音響の世界である。1オクターヴを12音に分割した平均律に対し、ハースはさらに細かく分割する微分音の可能性を追求し、新たな響きを作り出してきた。最新作には、ドナウエッシンゲン音楽祭でアンサンブル・モデルンによって初演された《weiter und weiter und weiter...》(2022)や、ウィーン楽友協会の委嘱による《ungefähr ganz genau》(2022)などがある。
5月22日の「ゲオルク・フリードリヒ・ハースの音楽」では、2010年代に作曲された2つの管弦楽作品が日本初演される。オーケストラのための《„... e finisci già?‟》(2011)は、モーツァルトのホルン協奏曲第1番に触発された作品。4本のアルプホルンとオーケストラのための《コンチェルト・グロッソ第1番》(2014)は、同公演に出演するホルンロー・モダン・アルプホルン・カルテットのために作曲された作品で、素朴な響きとオーケストラの音響をバロック音楽の“コンチェルト・グロッソ”のかたちで対話させる。そしてこれらの演奏に先立って、ハースがときに作品への引用を通して深い愛着を示してきた西洋音楽の先達たちのうち、メンデルスゾーンとマーラーが演奏される。
コンポージアム2025「ゲオルク・フリードリヒ・ハースを迎えて」
https://www.operacity.jp/concert/calendar/detail.php?id=17112
ゲオルク・フリードリヒ・ハース トークセッション
5月21日(水)19:00 東京オペラシティ コンサートホール
ゲオルク・フリードリヒ・ハースの音楽
メンデルスゾーン:《序曲「フィンガルの洞窟」》op.26
マーラー:《アダージョ- 交響曲第10番より》
ハース:《„... e finisci già?‟》オーケストラのための(2011)【日本初演】
ハース:《コンチェルト・グロッソ第1番》4本のアルプホルンとオーケストラのための(2014)【日本初演】
ジョナサン・ストックハンマー(指揮) ホルンロー・モダン・アルプホルン・カルテット 読売日本交響楽団
5月22日(木)19:00 東京オペラシティ コンサートホール
2025年度 武満徹作曲賞本選演奏会
5月25日(日)15:00 東京オペラシティ コンサートホール