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細川俊夫《リート V》世界初演

2019年 7月 18日付

Toshio Hosokawa / 細川俊夫

photo © Kaz ishikawa

8月5日に広島で行われる2019「平和の夕べ」コンサートにおいて、スティーヴン・イッサーリスの独奏、クリスティアン・アルミンク指揮の広島交響楽団により、細川俊夫の新作《リート V》が世界初演される。

チェロと弦楽オーケストラ、打楽器、ハープのための《リート V》は、広島交響楽団からの委嘱による作品。今回、ソリストのスティーヴン・イッサーリスからの提案により、フルートとピアノのための《リート》(2007)を原曲として、新たに作曲された。

細川はシューベルトを最も好きな作曲家の一人として挙げており、彼の音楽の根底にある「うた」の力は、彼自身の人間性の深みから生まれたものであり、その「うた」が持つ始原の力に感動する、と述べている。そこから、細川は楽器を人間の声の延長と捉え、自分自身の「うた」の始原を探す旅を始める。その過程で作曲されたのが、原曲であるフルートとピアノのための《リート》であり、その後、細川の探求は、ヴィオラとピアノのための《リート II》、チェロとピアノのための《リート III》、ヴァイオリンとピアノのための《リート IV》と続いていく。

細川の独奏とオーケストラやアンサンブルのための作品では、ソロ楽器は人間自身、そして、オーケストラやアンサンブルは人間の内と外に存在する自然や宇宙を象徴する。《リート V》も同じ考えの下に作曲されており、チェロ(人)が歌い始め、彼を取り囲むオーケストラ(自然や宇宙)がその「うた」に共鳴したり、反発したりし、互いに呼応しながら、チェロはやがてオーケストラの静かな響きの中に溶け合っていく。

2011年の東日本大震災以降、細川は様々な祈りを込めた作品を書き続けている。《リート V》は、細川が探求を続けてきた「うた」の力と、人と自然や宇宙との対話からもたらされる深い思索によって、細川の故郷でもある広島へ、細川ならではの祈りの「うた」を届けてくれることだろう。

細川俊夫
リートV(2018-19)
チェロと弦楽オーケストラ、打楽器、ハープのための
Toshio Hosokawa: Lied V for violoncello and string orchestra with percussion and harp
世界初演
スティーヴン・イッサーリス(チェロ)、クリスティアン・アルミンク(指揮)、広島交響楽団
2019「平和の夕べ」コンサート
2019年8月5日[月]18:45 広島文化学園HBGホール
http://hirokyo.or.jp/concert/list/10576.html
http://hirokyo.or.jp/hirokyowp/wp-content/uploads/2019/05/2019-evning-of-peace.pdf