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リーム《道、リュシール》日本初演

2019年 12月 27日付

Wolfgang Rihm / ヴォルフガング・リーム

photo © Universal Edition / Eric Marinitsch

1月25日、東京交響楽団の第677回定期演奏会において、ヴォルフガング・リーム《道、リュシール》が、角田祐子のソプラノ、飯森範親の指揮、同交響楽団によって日本初演される。同時に、同作と繋がりのあるゴットフリート・フォン・アイネム《「ダントンの死」管弦楽組曲》Op.6aも併せて演奏される。

ヴォルフガング・リームの室内オペラ《道、リュシール》(2011)は、カールスルーエのバディッシュ・シュターツカペレの委嘱で作曲され、2011年7月9日ヨッヘム・ホッホシュテンバッハの指揮、同シュターツカペレによって世界初演された。このリームのオペラと、オーストリアの作曲家ゴットフリート・フォン・アイネムのオペラ《ダントンの死》Op.6(1944/46)の両作品は約半世紀の時を隔てているが、いずれもベルクのオペラ《ヴォツェック》で知られるゲオルク・ビュヒナーの戯曲『ダントンの死』(1835)に基づくオペラである。

しかし、両作品は共通の戯曲に基づきながらも焦点を当てるアングルが異なり、いわば補完的な関係にある。リームの世界初演の演出を手がけたアレクサンダー・シュリンはこの点に着目してプログラムを組み、《道、リュシール》をいわばプロローグとして最初に置き、アイネムの《ダントンの死》と並べて上演することによってビュヒナーのシナリオを見事に縫い合せ、聴衆の心を掴んだ。

ビュヒナーの戯曲は、フランス革命の政治的なスペクタクルにおける歴史的な人物の悲劇的な死を描くのではなく、革命に翻弄されながら死を恐れ、苦しむ人間の生と個を普遍化して描いている。《道、リュシール》は、夫に続いて自らも処刑されるという残酷な運命をたどるヒロインのモノローグ(ソプラノ)を音楽化したものである。後期ロマン派を思わせる壮大な管弦楽と叙情性に富んだ音楽のドラマトゥルギーによって、リームは「人間の断念という意気消沈させる、胸の張りさけるような考察」(ドイツF.A.Z.紙)を体現することに成功した。

第二次世界大戦末期の荒廃したヨーロッパの絶望的な戦況下で作曲されたアイネムのオペラ《ダントンの死》(今回は管弦楽組曲版が演奏される)と併せて、《道、リュシール》の日本初演に期待が高まる。

ヴォルフガング・リーム
道、リュシール *
Wolfgang Rihm: Eine Strasse, Lucile * for soprano and orchestra
日本初演

ゴットフリート・フォン・アイネム
「ダントンの死」管弦楽組曲 Op.6a
Gottfried von Einem: Dantons Tod Suite for orchestra

角田祐子(ソプラノ)*、飯森範親(指揮)、東京交響楽団
2020年1月25日[土]18:00 サントリーホール
http://tokyosymphony.jp/pc/concerts/detail?p_id=UxXGqLHPhK4%3D&month=01