新刊楽譜 川上統:ピアノ・トリオ《組曲「甲殻」》第二集 5作品
2021年 2月 15日付
Illustration by Osamu Kawakami
2016年7月に出版された川上統作曲によるピアノ・トリオ《組曲「甲殻」》第一集に続き、待望の第二集が発売となる。
《組曲「甲殻」》は2005年から10年間に渡って作曲された15曲の小品から構成され、作曲時期によって3集に分けられている。題名にある通り、全曲が甲殻類やその近縁種に類される水棲生物に着想を得て作曲された。
今回出版となるのは2008年から2010年の間に発表された《ガザミ》《ミジンコ》《ワレカラ》《フリソデエビ》《ウミサソリ》の5作品。それぞれの作品ではこれらの生物特有の生態や質感が、作曲家の鋭い観察眼と想像力によって、時にはミクロに、時には海底を見渡すようにと様々な視点から映し出され、ピアノ・トリオの響きに凝縮されている。
また、2019年にはヴァイオリニスト諏訪内晶子のために、既存の3集に続く第四集の1作品となる《オトヒメエビ》が作曲された。この作品は、2月16日に紀尾井ホールで行われる「国際音楽祭 NIPPON 2020」の企画「諏訪内晶子 室内楽プロジェクト Akiko Plays MODERN with Friends」で初演される予定である。今もなお更新を続ける「甲殻」シリーズは、今後も新鮮な驚きをもたらしてくれるだろう。
川上統
組曲「甲殻」第二集
ヴァイオリン、チェロ、ピアノのための
Osamu Kawakami: Suite “Carapace” Volume II – for violin, violoncello and piano