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川上統《八放珊瑚八節》世界初演

2024年 11月 2日付

川上統/Osamu Kawakami

photo © Yuya Miyagawa

2024年11月4日に神奈川県立音楽堂において、川上統の新作《八放珊瑚八節》が、吉野直子(ハープ)と神奈川県立音楽堂開館70周年記念アンサンブルにより世界初演される。

ハープと弦楽アンサンブルのための《八放珊瑚八節》は、神奈川県立音楽堂の開館70周年を記念して開催されるイベントのひとつ、「開館70周年記念ガラコンサート 紅葉坂の四季」のために同音楽堂より委嘱された。

珊瑚と聞いて思い浮かべる硬質な生物とは異なり、「八放珊瑚」とはソフトコーラルと呼ばれる軟体の珊瑚の仲間である。ポリプの胃腔の隔壁と触手とが8である種類の腔腸動物の群を指す。

また「八節」とは、暦の上で重要な季節の節目を指す言葉で、二至二分(にしにぶん)と呼ばれる夏至・冬至・春分・秋分と、四立(しりゅう)と呼ばれる立春・立夏・立秋・立冬を併せたものを言う。

作曲家によると、「紅葉坂の四季」というこのコンサートのサブタイトルに因み、また同コンサートでヴィヴァルディの《四季》が演奏されることから、「季節」に因んだ形の組曲を四の倍数である八節で構成することとなった。

また、ソロとして参加するハープは、作曲家にとっては海を想像する楽器であり、楽器の佇まいや音色からインスピレーションを受けて「珊瑚」がテーマとなった。作曲家の故郷である逗子の海には八放珊瑚の群生域が存在するという。

作品は、八放珊瑚に分類される八種の生物と八つの季節の節目を組み合わせた以下の8曲からなる。

  1. 夏至 ベニウミトサカ
  2. 立秋 ウミエラ
  3. 秋分 オウギフトヤギ
  4. 立冬 クダサンゴ
  5. 冬至 タツマキヤギ
  6. 立春 オオイソバナ
  7. 春分 ウミサボテン
  8. 立夏 アオサンゴ

ハープ・ソロ、メンバー数人でのアンサンブル、そして演奏者全員での合奏と、曲ごとにさまざまな編成が採用されている。川上はこれまでも生物への深い洞察力をベースに作品を書いてきた。今回の作品では、珊瑚たちの生き様や鮮やかな海の風景がどのように描き出されているか、耳を澄ませてみてほしい。

川上統
《八放珊瑚八節》(2024)
ハープと弦楽アンサンブルのための
Eight Seasons of Octocorallia
for harp and string ensemble
【世界初演】
吉野直子(ハープ) 神奈川県立音楽堂開館70周年記念アンサンブル
開館70周年記念ガラコンサート 紅葉坂の四季
2024年11月4日(月)15:00 神奈川県立音楽堂(神奈川)
https://www.kanagawa-ongakudo.com/d/70gala