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小出稚子《すみか》世界初演

2024年 11月 7日付

小出稚子/Noriko Koide

photo © JUMPEITAINAKA

2024年11月9日にスティマーザールで開催される「C³(シーキューブ) vol.2 〜現代音楽と未来への《関》〜」において、小出稚子の新作《すみか》がルリトラノオ弦楽四重奏団によって世界初演される。

弦楽四重奏のための《すみか》は、公益財団法人びわ湖芸術文化財団の委嘱によって作曲された。「地域とアートとの出会いやアーティスト同士の交流から生まれる芸術を楽しむアートプロジェクト」として、同財団地域創造部が主催し、2021年から始まった「びわ湖・アーティスツ・みんぐる」。音楽部門、美術部門、交流の場の3つの部門からなり、「芸術(アート)を通して知と感性を刺激し合うような出会いや交流をつくり、地域の力が深まること」を狙いとして、琵琶湖を取り巻く滋賀県各地で活動が行われている。

音楽部門の「C³(シーキューブ)」は、2023年から始まった新しいシリーズで、「現代音楽界をけん引する旬の作曲家が、ハイドン以降、完全なる四声体として作曲技術の根幹をなす『弦楽四重奏』という形態で新しい表現に挑戦」するプロジェクト。

「3年をかけ、古代から交通の要衝であった近江・滋賀の街道沿いの土地を巡り、毎回開催地にちなんだ新曲を発表」するこのシリーズ、2回目の今年は小出稚子が作品を委嘱された。演奏は現代音楽のスペシャリストとして活躍する亀井庸州、松岡麻衣子(ヴァイオリン)、安田貴裕(ヴィオラ)、竹本聖子(チェロ)をメンバーとするルリトラノオ弦楽四重奏団。このシリーズのレジデント・アーティストとして滋賀県との関係を深め、その土地の魅力を音楽で発信している。

タイトルの C³ は「Current × Creation × Composition」を組み合わせた造語で、3つの観点からクラシック音楽の未来を描こうという意欲的なシリーズだ。全体のテーマを禅の言葉である「関(かん)」としており、「道のりを歩んでいく過程で様々な関門を通過した先に開かれる音楽をイメージして」いるという。

《栖》は、近江富士と呼ばれる三上山を題材とした作品。自らの経験に裏打ちされた感性をもって作曲に取り組む小出は、今回、実際に三上山に登山し、そこで得られたインスピレーションから新作を生み出した。

古くからその地の信仰の対象とされてきた山の「かみさま」のすみか、山中で囀っている「オオルリ」のすみか、そこに生息する多様な生物、植物のすみか、そして、三上山を信仰する人々のすみか。さまざまな「栖」が、登山道の様子や、竜王様とも呼ばれる三上山に蓄えられている豊かな水の様子、山の形(稜線)から岩や地面の様子などとともに描かれている。

作曲家とともに、三上山の豊かな多様性に満ちた自然と、そこに生きる生物や人々の営みに耳を傾けてみてほしい。

小出稚子
すみか》(2024)
弦楽四重奏のための
Sumika
for string quartet
【世界初演】
ルリトラノオ弦楽四重奏団(亀井庸州、松岡麻衣子、安田貴裕、竹本聖子)
C³(シーキューブ) vol.2 〜現代音楽と未来への《関》〜
2024年11月9日(土)14:00 スティマーザール(滋賀)
https://biwako-mingle.art/event/music/316/

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